[原子力産業新聞] 2007年4月5日 第2374号 <3面>

英国 北海油田が減産 石油の純輸入国に転落

英貿易産業省(DTI)は3月29日、2006年版のエネルギー統計を発表。北海油田が減産傾向にあった英国は、1980年以来初めて石油の純輸入国に転落した。

英国の2006年の石油生産量は、前年比9.6%減の7,657万9,000トン。北海油田では新たに2鉱区が生産を開始したが、既存鉱区の減産分をまかなうことが出来ず、結果として657万5,000トンの輸入超過となった。なお2005年は、240万トンの輸出超過だった。

2006年の総発電電力量を見ると、石炭火力が1,435億kWh(前年比11.6%増)、天然ガス火力が1,386億kWh(同7.5%減)、原子力が692億kWh(同7.9%減)。原子力シェアが依然として2割を占めている。また2006年のCO排出量(暫定値)は1億5,290万トン。発電部門において天然ガスから石炭へのシフトが進んだ影響で、前年比1.25%増となった。

K.パーカー英原子力産業協会CEOは、英国の原子力発電所は年間6,000万トン分のCO排出量削減に貢献していると指摘。「電源構成を見直し、原子力を基幹電源として位置づけるべきだ」と主張している。T.ブレア首相は3月13日、2050年までにCO排出量を1990年比で60%削減するとした「気候変動法案」を発表しているが、2006年時点では1990年比5.3%減に留まっているのが現状。

またすでに昨年末に、ダンジネスA1、2号機(28万5,000kW×2基)とサイズウェルA1、2号機(25万kW×2基)の計4基のマグノックス炉が閉鎖されており、CO削減目標を達成するには、原子力発電所の新規建設が不可欠と考えられている。

英国の原子力発電に対するスタンスを示す新しいエネルギー白書は、今年後半に発表される見込みである。


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