[原子力産業新聞] 2007年4月5日 第2374号 <8面>

【わが国の原子力発電所運転速報】 年間総発電電力量3,000億kWh台へ 06年度の平均設備利用率は約70%

日本原子力産業協会は、06年度(06年4月〜07年3月)および07年3月期の国内原子力発電運転状況をとりまとめた(=上表)。

〈06年度〉

06年度の国内原子力発電の平均設備利用率は69.9%と、総点検に伴う東京電力全機停止のあった03年度以降、年々回復してきたものの、05年度の71.9%からやや下降した。

一方で、総発電電力量は3,034億2,620万kWhと、対前年度比1.4%増、01年度以来で3,000億kWhの大台に乗った。年度後半の東北電力東通1号機(05年12月運開)、北陸電力志賀2号機(06年3月運開)の相次ぐデビューが後押ししたものと思われる。

年度を振り返ると、中部電力浜岡5号機と北陸電力志賀2号機のタービン羽根点検に伴う停止等により、設備利用率は、昨年秋口に60%台前半まで落ち込んだが、年明けの関西電力美浜3号機戦列復帰もあり、年度末は70%前後でほぼ落ち着いた。

炉型別では、PWRの稼働状況が年度を通じてBWRを凌いでおり、ABWR低圧タービン羽根損傷で、中部電力浜岡5号機と北陸電力志賀2号機が停止となった夏季においては特に大きな開きがみられた。PWRでは、関西電力高浜発電所が好調で、中でも2号機は8月以降、設備利用率の首位に立ち続けた。

各社別では、東京電力が総発電電力量で1,125億3,702万kWh、全電力の原子力発電量の約37%に相当、関西電力の659億1,077万kWh、同約22%、九州電力の378億3,608万kWh、同12.5%などとなっている。

06年度の発電電力量および設備利用率のそれぞれ上位5基を左表に掲げる。(写真は1号機〈右側の建屋〉が利用率のトップとなった九州電力川内発電所)

最近の発電設備における不備事項発覚始め、大地震、送電線事故など、様々な要因がここ1、2年、電力供給に支障をもたらしている。原子力はこれから一両年、新規運開の予定がないことから、基幹電源として安全確保を大前提に一層の稼働率向上が求められている。

〈3月期〉

平均設備利用率は71.4%で、前月の72.9%から1.5ポイント下回ったほか、総発電電力量も263億858万kWhと、前年同期比3.5%減。

   ◇お断り◇   

中部電力浜岡5号機は、タービンへの圧力プレート設置により、定格電気出力を本年3月13日より126.7万kWに変更しており、本記事の各表データもこれにならって算出しております。


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