[原子力産業新聞] 2007年4月12日 第2375号 <2面> |
地方からのレポート 番外編 九州エネルギー問題懇話会 「教職員との輪を広げる」日本原子力産業協会の地方関連組織の活動紹介シリーズの第2回は、九州全7県を対象に活動を行っている九州エネルギー問題懇話会(会長=藤原和人・十八銀行頭取)。 九州エネルギー問題懇話会は、九州電力の玄海原子力発電所1号機が1975年10月に営業運転を開始したことを機に、社団法人の九州・山口経済連合会(略称・九経連)の傘下に翌76年9月、「九州原子力懇談会」として発足した。その後、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故、四国電力・伊方原子力発電所での出力調整運転に対する反対運動の増勢などに対応して、89年7月には事務局も独自体制を確立。エネルギー分野全般に活動を広げるため、94年には組織名を現在の名称に改めた。98年ごろからは活動対象をさらに教育現場にまで広げ、本格化させた。 なお、九経連は昨年から九州経済連合会に名称変更した。 エネルギー一般を対象とした広報活動では、会員企業へは機関紙「とおみっく」の配布、関係資料の送付などを行っている。 89年には「エネルギー問題研究委員会」(座長=工藤和彦・九州大学大学院工学研究院教授)を立ち上げ、講師として各地で講演を行ってもらう専門家で構成し、年4回ほど定例的に情報・意見交換を行っている。 教育関係者や小中高校生などへの働きかけは、九州各県の小・中・高等学校の学校長、中・高等学校の社会科・理科主任教諭、過去2年間の講演会・見学会利用実績校に対して、同懇話会の「事業のご案内」や「講演会・見学会のご案内」を送付しているほか、九州各県主要都市の教育委員会、小・中学校の社会科・理科部会長、高等学校等への訪問活動を実施するなど、積極的に行っている。 夏休みには一般教職員を対象に教職員エネルギー・セミナーも実施している。 教職員や次世代層への働きかけは、いままでの実績と合わせて、「その成果を分かりやすく表などにまとめて次の対象者などに示すことによって、安心・信頼をしてもらって、新たな活動のきっかけにしている」(木村政雄・常任幹事・事務局長)。 10月26日の「原子力の日」関連の記念講演会を日本原子力学会・九州支部と共催し、会員企業だけでなく、一般市民にも参加を開放している。見学会も玄海原子力発電所と川内原子力発電所を対象に年3回ほど行っている。 重点活動項目である教職員・次世代層への活動では、18年度は、講演会を教職員等を対象に10回264人、次世代層41回・5,598人行い、合計51回・総数5,862人にも達し、昨年度より900人程度も増加した。 見学会実績では、教職員等を対象に7回・178人、次世代層80回・4,896人、合計87回・総数5,074人と昨年度並みとなった。 教職員のネットワーク組織作りにも力を入れている。「九州ネットワーク」(メンバー28人)では、九州各県の県庁所在地の小・中学校の社会科・理科部会の教師との施設見学会および研修会を実施。研修会ではエネルギー教育実践事例の紹介、エネルギー・環境教育プランについての意見交換などを行った。 「鹿児島環境エネルギー会議」(メンバー13人)は、鹿児島県における総合的な学習の時間でのエネルギー・環境教育を浸透させるために、エネルギー・環境教育を実践できる人材育成の必要性から、2年前に立ち上げたもの。土曜日を利用した年4回の勉強会のほか夏休みに夏季セミナーも行った。 九州域内の小学校の先生方をメンバーとする「エネルギー教育研究・企画会議」では、エネルギー・環境教材を提供するとともに、ホームページでも環境教育に関する教育実践例(授業例)を提供している。同会議の構成メンバーである先生方には、一般の教職員を対象にエネルギー・環境についての授業実践講座の講師になってもらい、九州各地で開催し、研修の輪が広がるよう努めている。 エネルギー教育教材についても、環境・エネルギーに関して学校の現場で使うことができる教材を作成したりもしている。「えねもんくん『総合の学習』ノート」、「えねもんくん学習シート」(=右写真)などだ。 これらの教材は、学校からの申込みや、授業実践講座・地域別セミナー、エネルギー教育全国協議会が主催する講演会などからの要請に応じて、エネルギー実験器具などと共に貸し出しを実施している。 |