[原子力産業新聞] 2007年4月19日 第2376号 <2面>

電気事業制度の審議開始 全面自由化 慎重意見が大勢

総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会(会長=鳥居泰彦・慶應義塾学事顧問)は13日、第24回会合を開催、今後の電気事業制度の検討を開始した。全面自由化の是非が大きなテーマだが、今会合ではエネルギー安全保障や環境保全などの課題との両立、原子力投資への影響などを考慮し、今次改革では全面自由化は見送るべきとの意見が多く出された。同分科会は年内を目途に報告書を取りまとめる見通し。

同分科会による今回の審議開始は、今月6日付の甘利明経産相からの同調査会長への諮問を受けたもの。冒頭、エネ庁の望月晴文長官は、あらゆる観点から忌憚のない議論を要請した。

今会合では、エネ庁がこれまでの制度改革の概要、電気事業を巡る現状、今次制度改革での主要指摘事項などを説明。同事項は第3次改革からの申し送り、エネルギー基本計画、制度改革評価小委員会報告、公正取引委員会の指摘、原子力部会報告、規制改革・民間開放推進会議の指摘などで、今後、これらも踏まえた議論が展開される。

原子力部会報告では、全面自由化の検討の際には、今後の原子力発電投資に及ぼす影響を十分に考慮すべきと指摘。規制改革・民間開放推進会議は、原子力発電の新設についてPPS(特定規模電気事業者)など新規参入事業者の出資等による共同開発も排除すべきでないとしている。

今会合では、「投資を確保できる企業体力が必要」、「安定供給不安を煽る制度改革は無理」など全面自由化に消極的な意見が目立った。


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