[原子力産業新聞] 2007年4月19日 第2376号 <4面>

第40回原産年次大会 【開会セッションと特別講演】

〈特別講演2〉 R.パチャウリ IPCC議長 「原子力の貢献」確認
 「気候変動への挑戦・エネルギーの新たな将来に向けて」(ビデオ講演)

IPCC第1作業部会は今年2月の報告書で、気候システムに温暖化が起こっていると断定し、この原因は人為起源の温室ガスの増加とほぼ断定した。96年を除く最近11年の世界の気温は、1850年以降で最も温暖な12年の中に入る。

過去百年で世界の平均気温は0.74℃上昇したが、今後約100年間で環境保全と経済発展を両立させても約1.8℃、化石燃料中心に高経済成長を追う社会では約4.0℃の上昇を予測する。すでに30年までは0.2℃/10年の上昇が確実で、今後、世界各地で気候変動による被害の拡大が予想される。

我々はあらゆる努力により、温室ガスの発生を抑制し、この気温上昇を回避する必要がある。発電分野では、火力の効率向上、原子力や再生可能エネルギーの比率拡大などが重要である。特に、中国、インドなど今後、電力需要が大幅に拡大する地域での電源の選択は重要になる。

IPCCは今年5月に発表する報告書で初めて原子力の有効性に触れる。私も嬉しく思っており、原子力がその相応しい地位を得ることが重要と考えている。


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