[原子力産業新聞] 2007年4月19日 第2376号 <5面>

第40回原産年次大会 【セッション3】 「Locally and Globally―― 青森が世界の原子力に果たす役割」

セッション3のテーマは、「Locally  and  Globally−青森が世界の原子力に果たす役割」。基調講演とパネルが行われ、青森の重要性を改めて強調、地域振興に関する提言も活発に出された。議長は神田啓治・京都大学名誉教授、エネルギー政策研究所所長。

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〈基調講演〉 舟木隆・資源エネルギー庁電力・ガス事業部長
 「世界の中の原子力立国日本〜その実現に果たす青森の役割〜」

国際エネルギー需給は、アジア中心の需要急増と供給減少傾向で構造的変化が起きている。石油の可採埋蔵量がいよいよ増えない時代に入ったとの見方もあり、中国を中心に世界は激しい「資源獲得競争」に入った。原油価格が高騰する中で、日本でオイルショックが起きないのは、過去のオイルショック以後、原子力などの非石油に電源構成をシフトしてきたことによる。

地球温暖化防止のためにも原子力の持つ意味は極めて重要になってきている。我が国のエネルギー政策の目指す方向は、「原子力か新エネか」ではなく、「原子力も新エネも」である。ただ新エネは二酸化炭素の排出削減には非常に有効だが、供給安定性や経済性などに問題があり、長期的にも需要を賄う代替エネルギーにはならないと考える。

我々は昨年8月、原子力政策大綱を踏まえ、10項目の具体的アクションを盛込んだ「原子力立国計画」を策定した。青森県に各種施設を立地して頂いている燃料サイクルの着実な推進、関連産業の戦略的強化がこの計画で重要である。

地域社会との共生も重要なテーマで、直接対話の強化、継続的な地域振興、国の検査への地方の参加などを進める。交付金制度に、札束でほおを張るような政策との批判もあるが、国民全体で我が国の原子力エネルギーを支える立地地域を支援するのは当然と考える。

我が国唯一の商用燃料サイクル施設のほとんどを有する青森県の役割は極めて大きく、その施設は核不拡散の面でも世界モデルであり、世界に誇れる原子力分野のメッカとしての役割を具現化して頂きたい。


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