[原子力産業新聞] 2007年4月26日 第2377号 <1面>

電力各社 発電設備の総点検で 「再発防止徹底」誓う

経済産業省原子力安全・保安院は20日、電力各社による発電設備総点検の評価と今後の対応をとりまとめた。データ改ざん等全316事案は、法令への抵触と安全への影響の観点からT〜Wの4段階に区分、原子力では、7発電所11事案に最も重いTが該当し、行政処分として「重大事故が起きたらトップに直ちに上がっていく体制」の構築を主とする保安規定変更命令が下されることとなった。

これら発電施設には、定期検査に加えた特別な検査、保安院の特別原子力施設監督官による監視・監督も行われる。これにより、昨年11月末から取り組んできた発電設備総点検は1つの区切りとなった。

20日、甘利明経産相は全国12社の電力トップらを前に、「二度とデータ改ざんや隠蔽等を行わず、国民の皆様の信頼を確保するため、改めて襟を正し新たなスタートを」と要請したのに対し、勝俣恒久・東京電力社長は、「徹底した再発防止、安全文化の構築を図る」などと応えた(=写真)。

総点検は、@過去の不正を前提に記録を改ざんし続けていく悪循環を断ち切るA不正を許さない仕組みを構築するB事故やトラブルの情報を共有し再発防止に活かすCこのような活動を着実に進めていくことにより電力会社の体質を改善する――ことをねらいに、事業者サイドで延べ7万人以上もの聴き取り実施など、徹底的な「洗い出し」を行った。原子力については、計98事案のうち、北陸電力志賀1で原子炉停止中に発生した臨界事故(99年)など、11事案が区分Tとなったものの、03年10月の現行検査制度開始以降に法令に抵触するデータ改ざんはなく、原子炉停止処分は今回発令されなかった。

電力各社は再発防止の行動計画を5月21日までに報告する。


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