[原子力産業新聞] 2007年5月17日 第2379号 <3面>

カナダ ブルース原子力発電所新設プロジェクト 環境影響評価作業 第2段階へ

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は7日、ブルース・パワー社の新規建設プロジェクトの環境影響評価作業について、専門家パネルを設置するよう連邦環境大臣に勧告した。今後、環境大臣が環境影響評価作業の継続を決定すれば、大臣が任命する専門家からなるパネルが、プロジェクトの環境影響を評価。公聴会等の場で、一般市民との意見交換も実施する。

ブルース・パワー社は昨年8月、ブルース原子力発電所サイト(=写真)に計400万kWの原子力発電設備容量を建設する「サイト準備認可」(SPL)を、CNSCに申請した。

その後CNSCは今年1月、同申請を正式に受理し、環境影響評価手続きを開始。関係団体からの意見やメディアの反応も検討した上で、事前評価の結果「妥当」と判断し、環境大臣に環境影響評価作業の継続を勧告した。

カナダ唯一の民間原子力発電会社であるブルース・パワー社は、ブルースA3、4号機(各80万5,000kW)、ブルースB1〜4号機(各84万kW)の計6基を運転しており、オンタリオ州の電力の20%以上を供給している。しかしうち5基は2015〜2020年頃に大規模な改造もしくはリプレースが必要になると見込まれている。

ブルース・パワー社のD.ホーソン社長兼CEOは「実際に建設に着手するかどうかは、まだ先の話」としており、同社は今後、経済性などの面から、@改造工事AリプレースB既存炉の改造+増設――の3オプションを検討するようだ。

オンタリオ州政府は昨年6月、既存原子力発電所の運転期間延長/リプレースを盛り込んだ「包括的電力供給計画」を策定する方針を示した。今回の「サイト準備認可」申請は同州政府の方針に沿ったものといえる。

同社はこのほかにも、長期運転休止中のブルースA1、2号機の運転再開準備も進めている。すでにCNSCは両機の運転再開にともなう環境影響評価報告書を承認しており、両機は早ければ2009年にも運転を再開する見込みだ。


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