[原子力産業新聞] 2007年5月17日 第2379号 <4面> |
核融合研・ヘリカル装置 経済的核融合のβ値5%達成核融合科学研究所はこのほど超伝導大型ヘリカル装置(LHD)により、経済的な核融合炉の実現に必要とされる5%のベータ値を達成した。併せて12兆個/ccの高密度プラズマ条件で、中心温度6,000万℃のイオン温度も実現した。 プラズマの圧力と閉じ込め磁場の圧力の比であるベータ値の向上に関し、同研究所は高圧力プラズマを維持する実験により追求。LHDは昨年までに4.5%の世界最高を達成していたが、今回、経済的な観点から必要レベルとされる5%をクリアした。固体水素の氷片による粒子補給と中性粒子ビーム加熱(NBI)の入射加熱方法を適切に組み合わせることにより達成した。プラズマは高い圧力になると、その中心が外側に移動する性質があるが、LHDは磁場コイルの電流値の調整により、この移動量を小さくできるという特徴を有する。 一方、高イオン温度化においてLHDは、これまでに3兆個/ccの低密度プラズマで1億5,000万℃を達成していたが、今回は、将来の核融合反応に不可欠な高密度条件でのイオン加熱を実施した。イオン温度の空間分布の詳細観測にも初めて成功、今後一層の高温度実験を進める。 これらは昨年10月に開始した第10サイクル・プラズマ実験により得られた成果で、同実験ではプラズマの性質に関して多くの学術的知見も得た。 |