[原子力産業新聞] 2007年5月24日 第2380号 <2面>

電気分科会 事業者とPPSが応酬 既設原子力の利用で

総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会(会長=鳥居泰彦・慶應義塾学事顧問)は18日、電気事業制度の在り方を検討する2回目の会合を開催、電気事業連合会やPPS(特定規模電気事業者)などから意見を聞いた。全面自由化に関し電事連は、「顧客の期待と懸念に対する議論が必要」との立場を示し、新規参入者による原子力への参画では、新設は可能だが、既設炉を切出した利用は困難とした。

電事連はまず電気事業者が直面する安定供給面での課題として、化石燃料需給がタイト化し、国際資源争奪競争が激化する中で日本のポジションが低下していることを上げ、原子力立国計画実現に向け新増設、リプレース、燃料サイクルに取組むとした。全面自由化では概念・定義の共通認識を形成することが必要で、その是非の判断に当たっては一般家庭の期待と懸念に関して論議すべきと指摘。電事連としては中立的な立場で、その議論は同分科会に委ねるとの考え方を示した。

また安定供給には原子力推進が重要とするとともに、新規参入者の原子力参画については、新設炉ではメリットの享受だけでなく応分負担を前提に賛成だが、既設炉はベース電源であり、切出すことは困難と主張。既設炉の電力を切り出して販売すれば、別途費用が発生するとした。

一方、PPSは多用なサービスを含めた競争を実現する上でも自由化を着実に推進し、最終的には全面自由化すべきと主張。電気事業者の環境性を全電源平均で評価するなら、PPSに既設原子力の利用を可能にすべきとした。これに関連して、PPSは、「原子力利用で電気事業者は既得権を主張している」と指摘。事業者は「原子力の立地・運営において積重ねた苦労を考えると既得権との指摘は受け入れ難い」と反論した。

また、「本分科会では原子力と自由化の議論をこれまで避けてきたが、今回はこれをどう考えるか結論を出すべき」との意見も出された。


Copyright (C) 2007 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.