[原子力産業新聞] 2007年5月24日 第2380号 <2面>

経産省 功労者12名を表彰 安全実務に大きく貢献

経済産業省は17日、07年度「原子力安全実務功労者」12名を表彰した(=写真)。「原子力エネルギー安全月間」活動の一環で、原子力関連事業の安全確保・向上に対する功績者の栄誉を称え、安全への意識高揚を啓発するもの。

都内ホテルで行われた表彰式の冒頭、甘利明経産相に代わり挨拶に立った山本幸三副大臣は、「原子力の安全は事業者の取組が一義的、携わる全ての人々が力を合わせ基幹エネルギーを支えて欲しい」などと述べ、受賞者らに賞状を授与した。

来賓挨拶で、鈴木篤之・原子力安全委員長は、「安全の最前線」で尽力した受賞者らの功績を称え、「生きた手本」として、今後は後進育成でも活躍することを期待した。

謝辞を述べた発電設備技術検査協会の中東重雄氏は、受賞の喜びとともに、地球温暖化対策等に鑑み「原子力発電は絶対の命題」とした上、その発展に向けてさらに貢献していく決意を表明した。

今回の受賞者は以下の通り(敬称略、50音順)。

▽市村祥博(BWR運転訓練センター)▽大貫輝夫(日本原燃)▽久野武治(三菱原子燃料)▽西原康郎(西日本技術)▽高橋五志生(原子力機構)▽高橋芳晴(同)▽玉井秀人(原子力発電訓練センター)▽田村薫(東芝)▽中東重雄(発電設備技術検査協会)▽服部憲治(三菱電機)▽早川均(富士電機システムズ)▽山本篤(三菱重工業)。

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今年度原子力エネルギー安全月間は、「環境と発展をささえる原子力、安全確保で未来へつなごう」を標語に、ポスターを各地事業所等に掲示するなどして、安全文化の浸透・定着を呼びかけている。

功労者表彰に続き、実際の現場における安全確保取組事例の発表が行われた。佐野賀一・東芝原子力フィールド部運転担当部長は、現場作業に際しての危険予知「KY活動」の取組を紹介した。佐野氏によると、これまで、模擬人体の高所落下実験による危険体感訓練、一瞬の不安全行動が引き起こす事故の再現映像教材などを通じ、「危険に気付き納得させる」ことをポイントに据え、災害撲滅につなげてきたという。一方で、マンネリ化による従業員のモチベーション低下が当初からの課題と懸念したほか、熟練者と若手との間で安全意識にギャップがあるのでは、という会場からの声に対しては「正にその通り」と応えた。


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