[原子力産業新聞] 2007年5月24日 第2380号 <3面>

ブラジル アングラ3号機 大統領が建設再開を承認

ブラジルのL.I.ルーラ・ダシルバ大統領が、アングラ3号機(PWR、135万kW)の建設再開を承認していることが明らかになった。今後、関係閣僚で構成される国家エネルギー政策審議会(CNPE)の承認をもって、正式な政府決定となる。現地紙の報道によると、次回のCNPEは6月中旬に開催される予定で、大統領自身が出席するという。

ブラジルの国営原子力発電会社であるエレクトロニュークリア社は昨年6月、33億ドルを投じて2007年内にアングラ3号機の建設を再開させ、2014年内の運開を目指す計画を発表した。

同計画に関しては当初、政府が今月までに最終決定を下すとされていたが、これまで開催されたCNPEでは、M.シルバ環境大臣が建設再開に強硬に反対。「ブラジルには放射性廃棄物処分施設が無い」とバックエンド問題を指摘する同大臣と、ブラジルが直面するエネルギー不足を挙げて運転再開を支持するS.ロンドウ鉱業エネルギー大臣、S.レゼンジ科学技術大臣との間で意見が対立し、結論が毎回持ち越されていた。

アングラ3号機は、独シーメンス発電事業部(KWU)を主契約者として、1975年に発注された。サイト準備工事を実施し、7億5,000万ドル相当の資機材も調達されていたが、1980年代のブラジル経済不況により建設作業は中断されている。すでに同機の建設再開計画に、KWUを傘下に収めた仏アレバ社が強い関心を示しているようだ。

経済が好調なブラジルでは今後、年率4.5%の経済成長率が予測されている。電力需要は、2015年までに現在の65%増となると考えられている。

ブラジルではアングラ1、2号機(=写真 PWR、1号機65万7,000kW、2号機135万kW)が運転中で、昨年の原子力発電電力量は137億6,941万kWh。発電設備は水力発電が主流で、総発電電力量に占める原子力発電シェアは3.3%に過ぎない。

ダシルバ大統領は昨年10月の大統領選で、2010年以降の電力不足解消のために、180億ドルを投じ、ブラジル原子力委員会が提案する計6基の原子力発電所建設計画を検討することを公約に掲げていた。


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