[原子力産業新聞] 2007年5月24日 第2380号 <4面>

原産大会 学生セッション報告 「仕事はまず熱意」

学生連絡会主催・ 原産年次大会「学生セッション」〜青森における原子力キャリアデザイン、最前線技術者たちの思いと情熱〜

日本原子力学会学生連絡会 岡本将典(神戸大学)

4月9日から青森において第40回原産年次大会が開催された。学生連絡会では日本原子力産業協会と協力し、今年で第2回目となる表題の「学生セッション」を開催した。今回の参加学生人数は約40名、社会人を含め約100名でのセッションとなった。また参加学生の大部分が東北方面の原子力の専攻ではない大学生、高専生となった。

「熱意」と「コミュニケーション能力」

パネリストとして講演いただいたのは東北電力東通原子力発電所技術課・佐藤岳之さん、日本原燃再処理事業部・高松伸一さん、電源開発原子力事業部・野中仁さんである。皆さんは青森での原子力事業に携わっており、また東北地方出身で地元に貢献されている立場でもある。皆さんに共通しているのが「何事もガッツ」ややる気、熱意を持ってほしいということであった。会社生活で必要と感じたスキル、大事だと思うことは「コミュニケーション能力」というキーワードに集中していた。

質問が幅広く集まったフリーディスカッション

参加学生を募集するとともに、技術者に対する事前質問の募集を試みた。その結果6件の質問を頂いた。3月ごろ電力会社の安全を揺るがす問題がメディアで大々的に取り上げられていたこともあり、「人的ミスを防ぐために行っている具体的な方策を教えてほしい」、「原子力の運用において、最も気をつけていることは何か」、「原子力産業における作業者への教育について教えて」等、原子力の安全性に関する質問が寄せられた。それに対し講演者の方からは原子力施設がインターロック、フェイル・セーフなどで安全面に対し、とても気を遣っている事を説明していただいた。また「地域住民からの理解をどのようにして得たか」という質問には、広報ではない発電所で働く人たちで地元の方々のお宅を訪問するなど、熱心な活動を行っていることを説明いただいた。また原子力を専攻していない学生が「今後、青森において、新しい原子力関連施設をつくる予定はあるか」と質問する等、原子力に関して興味を持っていることを確認できた。

原子力産業を知ることができたとコメント

参加学生の事後アンケート結果では、「原子力産業界の現状を垣間見られたことで原子力への取組みに関するイメージが変わった」、「広報活動について知ることができた」等、産業界の取組みを知ることが出来たという意見が多かった。今回のセッションに関しては「学生に対してのアピールの機会になる」、「学校では聞くことのない原子力関連の話が聞けたため必要だと思った」など産業だけでなく、原子力を知ってもらうよい機会となったようである。

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学生連絡会としては今後も原子力について、学生セッションのみならず、微力ながら役に立っていきたいと思う。


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