[原子力産業新聞] 2007年5月31日 第2381号 <4面>

原子力機構と2大学 ネプツニウムで超伝導体発見

日本原子力研究開発機構と東北大学、大阪大学の共同研究で、従来、超伝導材にはならないとされてきたネプツニウム化合物で、世界で初めての超伝導体NpPdAl(ネプツニウム・パラジウム5・アルミニウム2)を発見した。

ネプツニウムは元素の周期表でウランとプルトニウムの間に位置する元素で、ウラン以降の元素は「超ウラン元素」と呼ばれ、天然には存在せず、原子炉の核反応で生成する人工元素だ。強い放射能を持つことから、取り扱いが難しく、限られた施設でしか実験することができない。

近年、超ウラン元素やその化合物は、原子力技術における重要元素としてだけではなく、基礎科学的な観点からも注目が集まっている。

これまでに報告されているネプツニウム化合物は多くが磁性体であり、内部では磁場が発生しているために、超伝導が実現する可能性は低かった。

今回新たに合成されたネプツニウム化合物は、正方晶の結晶構造を持つ。特筆すべき点は、@超伝導が壊れる上部臨界磁場が15テスラ(地磁気の50万倍)と極めて高いAネプツニウムが磁性を持っているにもかかわらず超伝導が実現しているBこの超伝導体は、現在実用化に向けて研究が進められている高温超伝導体(銅酸化物超伝導体)と類似の性質を示す――ことだ。


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