[原子力産業新聞] 2007年6月7日 第2382号 <1面>

エネ調廃棄物小委 処分地確保の議論を再開 抜本的見直し論は出ず 8月頃に中間報告書

総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会の放射性廃棄物小委員会(委員長=森嶌昭夫・日本気候政策センター理事長)は6日、第10回会合を開催、東洋町など最近の情勢を踏まえた高レベル放射性廃棄物最終処分地確保の方策について議論を再開した(=写真)。今会合では公募方式の変更など現行制度を抜本的に見直すべきとの意見は出なかった。今後数回の議論により、8月頃には中間報告書を取りまとめる。

今会合では、原子力発電環境整備機構(NUMO)とエネ庁が最終処分地確保に向けた最近の状況について説明。NUMOは滋賀県余呉町、高知県津野町、同東洋町などの経緯とともに反対派の迅速な活動、知事の強硬な反対、周辺自治体も含めた信頼関係の未熟など、合意形成の難しさを示した。エネ庁も現状の課題として首長や議会への過大な負担、安全性の理解促進の難しさ、誤った情報への迅速な対応、NUMOと国の役割分担などの課題を挙げた。

委員からは公募制度など現行制度を抜本的に見直すべきとの意見は出なかったが、今会合から専門委員になった西川正純・前柏崎市長は、「公募制を維持しながら、原子力と係わりを持つ地域での可能性も探るべきでは」、同じく北野大・明治大学教授は「マスコミと知事の影響が大きく、知事会に議論を要請して欲しい。意志決定を住民に委ねる公募制を貫くべき」とした。

このほか、「企業や研究所をパッケージとする立地を検討すべき」、「周辺地域まで理解活動を行える枠組みが必要」、「常設のレビュー委員会が必要」、「処分場の安全性を体感できる施設が必要」、「信頼は何処から来るかを押さえるべき」などの意見が出された。


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