[原子力産業新聞] 2007年6月7日 第2382号 <1面>

原産協会 会長声明と提言を発表 総点検受け保安院にも

日本原子力産業協会は、電力各社による発電設備の総点検結果や再発防止対策の発表を受けて、「原子力発電の健全な推進基盤の構築にむけて」と題する今井敬会長の声明と、提言をまとめ、1日までに電気事業連合会、原子炉メーカー3社、原子力安全・保安院などに提出した。

会長声明では、電力会社に対して「過去の過ちに真摯に向きあい、再発防止対策を確実に実行することが肝要である」としたうえで、今回の報告では02年の東京電力の不祥事とその後の検査制度改革以降に、原子力発電所での隠蔽・改ざんの事例はないことから、「電力各社の経営の透明性やコーポレート・ガバナンス、さらには国の検査の有効性は、格段に改善されつつあると評価できる」としている。

原産協会としても、昨年10月に「原子力産業安全憲章」を制定し、「過去の失敗事例に学び、安全情報を共有する」などの5原則を掲げ、全国規模で同憲章の普及・定着に努め続ける決意を表明している。

声明ではさらに、安全管理、品質管理の原点は現場にあるとし、「当事者自らの意思と責任による自主管理の徹底が基本」と強調したうえで、国に対しても「事業者の努力と工夫を促し、安全レベルの向上に応じた科学的・合理的な規制が行われるよう希望する」としている。

このような観点から原産協会は、推進基盤構築に向けての提言を取りまとめ、電力各社、メーカー、国などに働きかけを行う一方で、民間自主規制機関としての役割を担っている日本原子力技術協会と緊密な連携を取りながら、「世界で一番安全・安心な原子力」をめざし、原子力発電への信頼回復を図る活動を展開していく、としている。

〈提言の骨子〉

1.場第一線の使命感の維持・向上

2.現場の技術能力向上と知識・理解の進化

3.事業者による自主管理の徹底との合理的な規制

4.原子力発電産業界の情報共有の推進 @原子力発電施設情報公開ライブラリー(ニューシア)の活用A良好事例の水平展開B電力・メーカーの情報共有と責任分担の明確化

5.国と自治体および事業者の役割の明確化 @国の役割A立地自治体への期待B説明責任の向上とマスコミとの対話の継続。


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