[原子力産業新聞] 2007年6月21日 第2384号 <1面>

原子力委 原子力ビジョン懇を設置 CO半減へ貢献示す 来月初会合、年度内に報告

原子力委員会は19日、2050年までに温室効果ガスの排出を半減する目標に向け、原子力は何をすべきかを検討するため、同委員会に「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会」の設置を決めた。来月下旬に初会合を開き、今年度中にビジョンの提示を目指す。

懇談会の主な検討内容は、@エネルギーの安定供給を図りつつ、2050年までに温室効果ガスの排出を半減するための原子力利用のあり方A原子力の平和的利用拡大のための国際的な取組みと我が国の対応B国際的に温室効果ガスの排出削減に貢献できる原子力技術の開発と実用化に向けた方策――など。

温室効果ガス半減に向けた取組みでは短期・中期・長期の観点から原子力利用のあり方を議論、平和的利用拡大では核不拡散との両立、技術開発では中小型炉、FBR、高温ガス炉による水素製造などをテーマとする。構成員は現在検討中。

今回の懇談会の設置は、エネルギー安定供給と地球温暖化対策に貢献する原子力に対し、その位置付けに関する議論が国内外において、急速に高まっていることに対応するもの。

安倍晋三首相が先月表明した「美しい星50」や今月1日に閣議決定した「21世紀環境立国戦略」で、2050年までに温室効果ガス半減のために原子力の重要性を提起。同じく閣議決定した「イノベーション25」とともに新増設の投資環境整備、科学的合理的な規制制度の実現、FBRサイクルをはじめとする原子力の技術開発の推進などが示された。

我が国は今月7、8日に開催されたG8サミットでもこの目標を提示、首脳宣言では、エネルギーの多様化の重要性を指摘する中で、原子力の平和的な利用推進に向けた国際的なイニシアティブに期待を示している。


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