[原子力産業新聞] 2007年6月21日 第2384号 <3面>

カナダ NWMO勧告を受け入れ バックエンド戦略は段階的に

カナダのG.ルン連邦天然資源相は14日、核燃料廃棄物管理機関(NWMO)の勧告を受け入れ、「適応性を持った段階的な管理」(APM)をバックエンド戦略の基本的な考え方として採用することを発表した。APMは、使用済み燃料の処分を1つのオプションに絞り込むのではなく、「サイト内貯蔵」、「集中中間貯蔵」、「深地層処分」を段階的に実施し、段階ごとに次の管理方策を検討するもので、「将来世代の選択肢を狭めない進め方」として注目を集めている。

NWMOは、2002年核燃料廃棄物法に基づき、使用済み燃料管理・処分オプションに関する調査研究と評価を行い、長期的なバックエンド戦略を連邦政府に勧告することを目的に2002年11月に設立された組織。2005年11月に、「進むべき道を選ぶ=将来におけるカナダの使用済み燃料管理」と題する最終報告書を政府に提出し、回収可能な地層処分を柱としながらも、APMを基本的な考え方として、適応性を踏まえて段階的に意思決定を行うべきであると提言した。

カナダでは使用済み燃料は現在、暫定的な措置として、オンタリオ、ケベック、ニューブランズウィック各州の原子力発電所サイト内にある貯蔵施設で貯蔵されている。

APMでは今後の約30年間を、サイト内貯蔵を継続しつつ、浅地層集中中間貯蔵施設や地下研究施設の建設へ向けた準備をする段階(フェーズT)と規定。中間貯蔵施設の建設に国民的なコンセンサスが得られた場合、2035年頃をメドに中間貯蔵施設と地下研究施設が建設され、次の約30年間は、中間貯蔵を実施し深地層処分の準備を進める段階(フェーズU)となる。

深地層処分について国民的なコンセンサスを得られた場合、2065年頃をメドに深地層処分場を建設し、その後60年間、回収可能な状態で深地層処分を実施する(フェーズV)。

フェーズごとに、@先のフェーズに進むAそのままの状態を継続するB逆戻りする――等のオプションを評価することになっているのが特徴だ。

中間貯蔵施設と地下研究施設および深地層処分場は、同一サイトに集中立地される。サイト選定手続きについてはNWMOが検討中だが、実際のサイト選定までは、まだ時間がかかりそうだ。

またNWMOの試算によると、使用済み燃料管理・貯蔵戦略に要する費用は、総額で約240億加ドル。この中に、深地層処分場からの使用済み燃料回収技術の開発費用も含まれるが、実際の回収費用は含まれていない。


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