[原子力産業新聞] 2007年6月28日 第2385号 <1面>

原産協会 新体制で初の通常総会 理事長職新設服部副会長が就任

日本原子力産業協会は21日、第57回通常総会を東京・丸の内の日本工業倶楽部で開催した(=写真)。今井敬会長をはじめ新体制になって1年を経過して、平成18年度の事業報告・決算、19年度事業計画・予算を原案通り承認したほか、理事長制の導入に伴う定款の変更を行い、服部拓也・原産協会副会長を新理事長に選任した。

理事長制は、対応すべき課題に対して迅速に判断し行動に移すことをより可能にするためのもので、定款変更には監督官庁の文部科学省の認可が必要で、9月1日から施行する。

今井会長は開会の挨拶で、国内外で巻き起こっている原子力再評価の流れについて指摘した後、昨年総会で会長就任後、「原子力推進で最も重要なことは、国民からの不安感・不信感を払拭し、原子力に対する信頼を取り戻すこと」と考え、「原子力産業安全憲章」を策定して、原子力施設が立地する県知事を訪問し、理解活動を展開、同時に各地で記者懇談会も開催してきている、とした。

電力施設の総点検についても、原子力産業に対しては自主管理能力の向上を要請する一方、国に対しては科学的・合理的な規制が行われるよう要請している、と述べた。

来賓として挨拶した甘利経産相は、昨年11月末に行った発電設備総点検の指示について、「不正の連鎖という悪循環を断ち切り、国民からの信頼を再構築したいと考えたからだ」と説明、「いままでよりもさらに安心・安全な体制を築いていくためのものだ」と強調し、地元や国民に丁寧に説明し、再発防止対策を着実に進めていく、とした。

国際対応については、米国のボドマン・エネルギー長官との間で今年4月、「日米原子力エネルギー共同行動計画」に合意したことを挙げ、「これまでの関係は、米国がカーター政権以来、ともすれば、非核兵器国の日本の核燃料サイクルを抑え込もうとするなか、日本が原子力の平和利用の模範生としてこれを死守する、というものであった」と総括したあと、今回の共同行動計画は「日米両国が原発新規建設や核燃料サイクル開発といった共通の目標に向かって相互補完するウイン・ウインの協力関係へと転換する画期的なもの」と評価した。

総会後、別室で行った会員懇親会では、秋元勇巳副会長が挨拶し、「先のG8サミットで二酸化炭素の排出量を半減するとの努力に合意したことは、原子力を推進しなければならないことを世界が認めたことと同じこと。原子力嫌いもそろそろやめてほしい」と述べ、原子力の重要性を認識する一方、「現場1人ひとりがやる気のある職場環境にしていかなければならない」と強調した。


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