[原子力産業新聞] 2007年7月5日 第2386号 <2面>

重水素実験の安全性は妥当 第三者委員会が中間報告書

核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)の重水素実験計画を評価する重水素実験安全評価委員会(委員長=片山幸士・人間環境大学学科長)はこのほど、同計画の安全管理は妥当とする中間報告書を取りまとめた。

第三者のみで構成する同委員会は、今年1月の初会合から5回の会合により、トリチウム対策、中性子遮蔽、放射化対策、放射線管理体制、災害・事故時の対策などについて検討した。

同実験で発生するトリチウムの年間最大発生量は55.5GBq、その大部分を水として回収処理するが、回収技術はすでに完成しており保管方法も適切と判断。回収されず外気に放出するトリチウムの年間最大量は3.7GBq以下で、環境や健康への影響はなく、現在の測定技術では精度良く測定できないレベルとした。このため、発生源に近い場所での測定と計算による補完を行う。

中性子とその中性子により発生するガンマ線は実験室のコンクリート壁で十分遮蔽、敷地境界での線量は年間の自然放射線量の1,000分の1程度とした。放射化もコンクリートは約10年で自然レベル、LHD本体も40年でクリアランスレベル以下になる。また実験棟は震度7まで耐えられ、耐震性能も十分に高いと評価した。

同報告書は留意事項も挙げており、放射線の安全性監視のための精度良い測定、十分な情報公開、第三者による監視組織の設置、地元自治体との周辺環境保全協定の早期締結、地域住民との安全・安心に関する信頼の確保策の実施などを求めた。

委員会では同報告書に対する住民、行政、専門家などの意見を求め最終報告書を策定する。


Copyright (C) 2007 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.