[原子力産業新聞] 2007年7月26日 第2389号 <2面>

泉田新潟県知事や関係団体が要望 風評被害対策など万全を

新潟県の泉田裕彦知事は24日、経済産業省に甘利明・経産相を訪ね、今回の新潟県中越沖地震に対する緊急要望書を提出した。

泉田知事は、被災者の生活再建支援の充実や早急な激甚災害指定を要請するとともに、柏崎刈羽原子力発電所に関して、「今回発生した火災や放射性廃棄物の放出等の事故は、初期対応や情報提供など制度・体制のまずさから地域住民に大きな不安と不信を与えている。何らかの対策をとらなければ、原子力に依存している我が国のエネルギー政策全体に支障を来すのではないかと懸念する」と指摘。

併せて、「風評被害の防止の面からも、原子力災害対策特別措置法など関係する法令の改正や組織・体制の見直しなど、安全対策や防災機能の見直しを徹底的に行い、立地地域住民が安心して暮らせるよう、早急な対策の実施」を求めた。また、昨年9月に策定された新しい耐震設計審査基準の抜本的な強化、発電所の危機管理体制の充実強化なども求めた。

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全国原子力発電所所在市町村協議会(会長=河瀬一治・敦賀市長)は23日、甘利明・経産相などを訪問し、原子力発電の耐震安全性確保に関する申し入れを行った。今回の地震に伴う東京電力柏崎刈羽発電所の被害を受け、全国の原子力発電所に対し、早急な安全確保対策を求めた。

申し入れしたのは、河瀬会長、副会長の井戸川克隆・双葉町長、今井理一・高浜町長で、原子力安全委員会、電気事業連合会にも同様の申入書を提出した。

申入書はまず、今回の地震で、想定を上回る地震動が観測されたことについて、「原子力発電所の耐震安全性に大きな不安を生じせしめ、立地自治体としても強い衝撃」と、住民らの不安を強く訴えた上で、影響の生じた設備への速やかな原因の徹底究明を求めた。現在、進められている新耐震設計審査指針に照らしたバックチェックに関しては、事業者による早急かつ確実な断層調査、国の厳正な確認とともに、住民の安心できる十分な説明を行うよう訴えた。

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原子力発電関係団体協議会(会長=村井嘉浩・宮城県知事)は24日、経済産業省などに新潟県中越沖地震に関する要望書を提出した。

同協議会を代表して宮城県の三部佳英・環境生活部長らが原子力安全・保安院の加藤重治審議官を訪ね、正確な情報提供、消防体制の適切な指導、新耐震設計指針の妥当性の確認などを要請した。また、風評被害への対応、放射線に対する正確な知識の普及なども要請した。


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