[原子力産業新聞] 2007年8月2日 第2390号 <2面>

安全委員会 中越沖地震 影響への見解と今後の対応 断層の追加調査等求める

原子力安全委員会は7月30日、新潟県中越沖地震に関して、「地震時における原子力発電所の安全性を確保する上で重要な教訓」などとする見解をとりまとめた。

地震に伴う東京電力柏崎刈羽発電所への影響では、今後進められる原子炉圧力容器内部の状態等、安全上重要な部分を含む調査状況について随時、原子力安全・保安院、事業者から報告を受け、必要な検討を行うとしている。当初設計時の想定を大きく上回る揺れを記録したことについては、詳細なデータ等を速やかに公表するとともに、地震を引き起こした断層に関する追加調査を実施するよう事業者側に求めた。これらは、安全委員会の「耐震安全性に関するプロジェクトチーム」(PT)で報告を受け必要な検討を行う。

今回の地震で、設備・機器類、配管・ダクト類に地盤の不等沈下による影響があったことに鑑み、耐震指針の重要度分類SクラスのみならずB・Cクラスの建物・構築物についても、地盤支持性能の確認、これを踏まえた補強等を講ずることを、新耐震設計指針に照らしたバックチェックの計画見直し・早期実施と合わせ、全原子力発電所に要請した。また、地震観測データに一部消失があったことに関して、今後の耐震安全性向上の観点から、原子力施設の地震計設置状況・データ消失防止対策を耐震安全性調査PTで検討する。

今回の見解で、新耐震指針の見直しの要否は「現時点では議論できる状況にはない」と再度、述べているが、安全委員会指針の1つである「原子力発電所の地質、地盤に関する安全審査の手引き」については、関連情報の収集・整備を進め、適切な段階で改定に向けた検討を開始することを表明した。同手引きは01年、耐震指針と合わせて改定審議が始まったが、中断されたままとなっている。


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