[原子力産業新聞] 2007年8月9日 第2391号 <1面>

米印 原子力協定を発表 30年ぶり再協力へ道 原子力供給国グループの承認必要

米国とインド両政府が7月27日に民生用原子力分野での原子力協力協定交渉で最終合意したことを受け、両政府は3日、同協定文書を発表した。1974年のインドの最初の核実験以来、停止していた両国の平和利用協力が再び動きだそうとしており、核不拡散条約(NPT)の枠外での新たな協力が実際に動き出すまでには、両国内での手続きだけでなく、日本を含めた原子力供給国グループ(NSG)の承認など、越えなければならないいくつかのハードルがまだ残っている。

同協定は、両国間の原子力研究開発や原子力安全分野での協力関係の推進をうたっており、米国からインドへの技術移転、核燃料や原子力機器の輸出を可能とするもの。国際原子力機関(IAEA)の保障措置下に置くことを条件に、インドが使用済み燃料の再処理を実施することを容認している。

米国のN.バーンズ国務次官は同協定のポイントとして、@インドの民生分野の原子力施設をIAEA保障措置下に置くことで、国際的な核不拡散体制を強化するAインドが原子力発電利用を促進し、温室効果ガス排出量を削減することを可能にするBインドのエネルギー安全保障を強化するC過去30年におよぶインドに対する制裁措置を解除し、米企業によるインド原子力産業への投資を容認する――の4点を指摘し、「これまでの米印関係において、最も重要なイニシアティブだ」と位置付けている。

同協定が発効するためには、インドはIAEAと保障措置協定を締結しなければならないが、インドはこれまで独自に開発してきた研究炉などはその対象にしない方針だ。その上、45か国からなる原子力供給国グループ(NSG)がガイドラインを改正し、インドを「輸出禁止対象の例外」として承認しなければならない。その後、米印両国は同協定に正式に署名し、両国議会がそれを承認する必要がある。

米国では昨年12月、ブッシュ大統領が「米印平和的原子力協力法案」(ヘンリー・ハイド法)に署名し成立した。同法は、NPT未加盟国への原子力関連技術や核燃料の輸出を禁じた54年原子力法から、インド向けの規制を除外するもの。その後、米印間で、具体的な原子力協力協定の作成に向けた交渉がさらに続けられた。

同協定では、今後インドの核実験があった場合の扱いについて直接の言及はなく、協定の停止について「両国とも1年前の文書による通告」としているのみ。有効期間は40年間で、10年毎の延長が可能となっている。


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