[原子力産業新聞] 2007年8月23日 第2392号 <2面>

原子力委 中越沖地震で見解 地震対応マニュアル整備など

原子力委員会は7日の定例会議で、同委員会見解として、「柏崎刈羽原子力発電所に対する中越沖地震の影響を踏まえた今後の対応について」を取りまとめた。

地震に対する原子力安全委員会、原子力安全・保安院、事業者などの対応を踏まえ、原子力委員会として、6項目の重要事項を提起した。6項目は、@国内外への適切な情報発信A知見や経験の国際社会との共有B耐震安全性確認の迅速な実施C地震時対応マニュアルの整備D新たな知見の規制基準等への迅速な反映E電力安定供給に向けた事業リスク管理活動の確実な実施――。

情報発信では、事業者は国民に新しい事実を迅速・正確に、保安院はその評価を国民に分かりやすく伝えることが必要と指摘。海外の関心も高いため、保安院や事業者は国際社会に対しても遅延なく適切な情報発信が必要とした。

国際社会との共有では、IAEA調査への全面協力とともに国際会議等の主催などを要請。耐震安全性の確認では、バックチェックの可能な限りの迅速な実施を求め、その際には、安全性を判断する上で重要な情報が得られる取組みを優先し、立地住民への適切な説明を求めた。

地震時対応マニュアルの整備では、事業者が原子力施設の安全確保、立地地域社会との役割分担と連携、広報等の所要分野において、採るべき対応を厚い守りの観点から検討すべきと指摘。

新たな知見の規制基準への反映では、安全委員会及び保安院は安全規制に対する信頼性が損なわれることがないよう、最新の知見に絶えず注目し、無視できないものが見出された場合には、この影響を小さくするよう速やかに対応すべきと指摘。これは行政のリスク管理活動であり、確実な実施が必要としている。

また、原子力発電は電力安定供給に資することを期待されており、事業者は新たな知見が見出された際には設備の改修等を行い、事業リスク管理活動が確実に実施されるよう各種の活動を充実すべきとした。


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