[原子力産業新聞] 2007年8月30日 第2393号 <4面>

ピーターソン氏 原子力が不可欠 電力需要が増大傾向

「最新の原子力発電所開発の動向」と題して講演したピーターソン副理事長は、まず米国で原子力推進に弾みがついている要因について、@既存プラントの実績好調A燃料の多様性B世論の受容C炭酸ガス削減による環境への貢献D電力需要の拡大による必要性――を挙げた。

米国で原子力ルネッサンスに至った状況の1つに、原子力発電所の高い稼働率が挙げられるが、2000年以降、103基の平均で90%前後を継続して達成しており、つい最近の熱波がおそったときには、99%の稼働で貢献した、と述べた。

米国で最後に営業運転入りしたのは96年5月のワッツバー1号機(PWR、121万kW)だが、その後、稼働率の向上、プラントの出力増強改造などによって、発電電力量も高位の記録を維持しており、06年には7,870億kWhを発電した。今年5月には長期に運転を停止していたブラウンズフェリー1号機(BWR、115万5,000kW)が104基目の原子力発電所として運転を再開し、8月に入ってワッツバー2号機(PWR、121万kW)の建設再開も決まったことを紹介した。

経済性についても、発電コストが2000年に1kWh当たり2.03セントだったものが、06年には1.72セントまで低下し、安全性確保とコスト削減が両立しうることを継続して実証している、とした。さらに最近の燃料費の高騰では、発電に占める燃料費比率が26%と格段に低い原子力発電はさらに有利になっていると述べた。

ピーターソン副理事長は、米国国内では今後、2030年までに電力需要が現在の45%増加する見通しで、そのためには現在の燃料別発電シェアを維持すると仮定した場合、原子力発電所(各100万kW)50基をはじめ、石炭火力(各60万kW)261基、天然ガス発電(各40万kW)279基、再生可能エネルギー発電(各10万kW)93基を建設しなければならないとした。今後13年間に、最大1兆ドルの資金を電源開発に投入しなければならない、と強調した。


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