[原子力産業新聞] 2007年8月30日 第2393号 <4面>

ビスコンティ氏 24年間の継続調査を実施 米国世論も原子力を強く支持

ビスコンティ社長は「米国の原子力エネルギーに対する一般世論」と題して講演し、1983年から07年までの24年間に、それも年に何回も行なってきた世論調査の実績に基づいて話を展開した。

世論調査は18歳以上の米国民からランダムに1,000人を選び、電話インタビューを行い、その結果の誤差はプラス・マイナス3%程度だと説明した。

原子力に対する世論の動向は、下のグラフが示すように、83年には「賛成」が49%で、「反対」が46%と拮抗していた。86年、87年に「反対」が「賛成」を若干上回った時期もあったが、その後は「賛成」が「反対」を次第に上回り、その差も95年、96年を除き拡大傾向を続け、直近の07年4月の調査では、「賛成」が63%、「反対」が31%となった。同氏は、20年間に「賛成」と「反対」の差が開いてきたものの、最近の2回の調査では「賛成」が少し下がり、「反対」が少し増加している点が気がかりだとした上で、「再生可能エネルギーの喧伝(けんでん)、原子力のPR不足が原因ではないか」と指摘した。

「賛成」傾向を全米的に見ても、北東部59%、中西部62%、南部68%、西部61%と、全域で賛成が過半数を超えており、南部で若干高く地域差はほとんどない、としている。

新潟県中越沖地震が柏崎刈羽原子力発電所をおそった7月16日の直後にも、米国の原子力発電所の地元で調査を行なったことを明らかにした。

全米64サイトの半径10マイル(約16km)に住む電力会社の職員を除く各サイト18人の計1,152人にインタビューした結果、原子力発電所に対して「賛成」が82%、「反対」が16%で、特に「反対」の中の「たいへん反対」はわずか7%だった。

既設原子力発電所サイトの周辺の人で、増設に「賛成」の人は71%、「反対」の人は26%だった。このうち、「炭酸ガス削減に貢献することを聞いたことのある人」の「賛成」は76%に高まり、「聞いたことのない人」の「賛成」は60%にとどまり、ビスコンティ社長は「コミュニケーションの重要性を示したものだ」と説明した。

さらに「多くの情報をもらっていると考える人の好印象度」は79%とさらに高まるほか、「原子力規制委員会(NRC)についての情報を得ている」と考える人ほど好印象度も74%と高いことが示された。

同氏は結論として、原子力施設が地域社会から「親しみ」をもってもらえる存在、「そこで働いている人々がいい人だ」と思ってもらえることが最大の課題で、一にも二にも、あらゆる機会を通じた地域とのコミュニケーションが重要だ、と結んだ。


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