[原子力産業新聞] 2007年9月6日 第2394号 <3面>

加アルバータ州 初の原子力発電を導入か サイト準備認可を申請

カナダのエナジー・アルバータ社(EAC)は8月27日、「サイト準備認可」(SPL)を、カナダ原子力安全委員会(CNSC)に申請した。ただし、EACが当初掲げていた原子力を利用したオイルサンド回収については、詳細が明らかにされていない。

準備サイトはアルバータ州ピースリバーで、カナダ原子力公社(AECL)製の先進カナダ型重水炉ACR1000(出力120万kW級)×2基を建設する。EACは2012年に着工し、2017年にも運開にこぎつけたい考えだ。ピースリバーのL.マン町長は、「持続可能で活気にあふれるピースリバーの将来が約束される」と、EACの計画を歓迎している。

EACは翌28日に開催された記者会見で、アルバータ州の電力需給は危機的状況にあり、今後、毎年40万kWの追加設備容量が必要になる、と予測。「アルバータ州は大規模で安定したクリーンな電源を必要としており、州民も原子力発電を受容する用意ができている」(W.ヘニューセットEAC社長)と指摘し、アルバータ州への原子力発電導入の必要性を強調した。

また発電所から発生する放射性廃棄物について、EACの環境コンサルタントを担当するゴールダー・アソシエイツ社のS.スワンソン博士は、当面はサイト周辺に貯蔵し、長期的にはバックエンド問題に関する連邦政府の最終判断を待つ、との考えを示した。

CNSCは今後、一般市民からの意見を聞きながら環境影響評価(最短でも約3年)を実施する。環境影響評価の結果が良好だった場合、SPLが承認され、EACはその段階で初めて、建設認可を申請することが出来る。

EACは2005年10月、原子力によるアルバータ州への電力供給とオイルサンド回収法の事業化を掲げて設立された民間企業で、昨年8月にAECLと協力関係を構築した。当初はCANDU6(出力70万kW級)×2基を、アルバータ州フォート・マクマレーへ建設するプロジェクトを掲げていたが、その後の各地の地元自治体らと協議し、誘致に熱心で、インフラの整備などさまざまな立地可能性を考慮し、ピースリバーにサイトを変更。採用炉型も、出力が大きく最新型のACR1000に変更した。

また原子力発電所の建設・運転を担当する予定だったAECLは、建設のみを担当し、EACが発電所を所有・運転することになった。計画の遅延などによって発生する追加コストの問題については、AECLを中心とする「チームCANDU」が、プロジェクト・リスクを負担することを保障している。

建設コストは62億加ドル(58億ドル)で、EACは政府からの補助金は受けず、民間から資金調達する方針だ。


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