[原子力産業新聞] 2007年9月20日 第2396号 <1面>

メーカー主体で世界標準めざす 官民合同で出力180万kW級、BWRとPWR開発 総開発費は600億円 規格基準も同時整備の方針

経済産業省、電気事業連合会、日本電機工業会の3者は12日、ナショナルプロジェクトとして、来年度から世界標準の獲得を目指す次世代軽水炉を本格的に開発すると発表した。基本設計完了までの期間は8年間、総開発費は官民合わせ600億円程度を見込み、電気出力170から180万kW級のBWR、PWR各1炉型を開発する。3者はプロジェクト実施のため、コンソーシアムのような組織を設立する方針で、現在、その具体化に向けた検討を進めている。

3者は昨年から次世代軽水炉開発のフィージビリティー・スタディーを実施してきたが、今回、国内の2030年前後からのリプレース需要や世界市場の拡大を視野に入れ、本格開発を決定した。

合意した基本事項は、@メーカーはプロジェクトの主体的役割を果たし、この次世代軽水炉を各社の主要な炉型ラインナップの1つとするA電気事業者はメーカーの取組みを踏まえ、主要ユーザーの立場から積極的に協力するB国は必要な予算確保に向けた特段の取組みを進めるとともに、国際展開に向けた環境整備を行う――など。

プロジェクトに参加する電気事業者は、沖縄電力を除く電事連加盟の9社と日本原子力発電、電源開発の11社、メーカーは東芝、日立GE、三菱重工の3社。

開発する次世代軽水炉の基本コンセプトは、@世界初の濃縮度5%超燃料を使用する原子炉系を開発、使用済み燃料の大幅削減と世界最高の稼働率の実現A免震技術を採用、立地条件によらない標準化プラントの実現Bプラント寿命80年とメンテナンス時の被ばく線量の大幅低減を目指した新材料開発と水化学の融合C斬新な建設技術の採用による建設工期の大幅短縮Dパッシブ系・アクティブ系の最適組合せによる世界最高水準の安全性・経済性の同時実現E稼働率と安全性を同時に向上させる世界最先端のプラントデジタル化技術――などを挙げている。

来年度からの2年間は、プラント概念の成立性の見通しを得るための概念設計検討や要素技術開発を進め、2010年度上期までに成果を評価し、以降の開発計画に反映・見直しを判断する。

経済産業省では開発と一体的にこの次世代軽水炉に必要な規格基準も整備する方針で、安全当局と連携し、規制高度化も併せて推進する予定。


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