[原子力産業新聞] 2007年9月20日 第2396号 <3面>

チェルノブイリ 4号機のデコミが進展 ウクライナ 新シェルター計画等で契約

ウクライナの国営企業であるチェルノブイリ原子力発電所は17日、チェルノブイリ4号機の「石棺」を覆う新しいシェルター(NSC)建設プロジェクトで、仏建設大手のブイグ社を中核とするコンソーシアム「ノバルカ」と契約した。

NSCは高さ100mのアーチ状で、米国マンハッタンの自由の女神像がすっぽりと納まる巨大な構造物。最低でも100年の設計寿命を持ち、将来の時点で、古い「石棺」の解体作業も可能な機器も設置される。4号機近くの安全な場所で組立て、スライドさせて「石棺」を覆う方法を採用している。工期は48〜52か月の見通し。

同機を覆っている古い「石棺」は、事故直後に建設されたもので、崩壊や放射能漏れの危険性が指摘されている。ウクライナとG7は1997年、石棺の安定化ならびに新シェルターの建設と石棺内部の燃料含有物質の除去を進めることで合意し、石棺実施計画(SIP)が取りまとめられた。

SIPは、NSC以外にも廃棄物管理、放射線防護など多項目のプロジェクトから構成されている。SIPの実施には、現時点で総額13億9,000万ドルが必要と試算されており、G7や欧州連合(EU)を中心とした28か国からの拠出により、欧州復興開発銀行(EBRD)が管理するチェルノブイリ石棺基金(CSF)が設立され、EBRDが管理している。

なおチェルノブイリ原子力発電所は同日、米ホルテック・インターナショナル社と中間貯蔵施設の建設で契約した。同施設は、チェルノブイリ1〜3号機から発生した2万体以上の使用済み燃料を貯蔵するもので、チェルノブイリ・デコミ計画においてNSCと並んで重要な意味を持つ。


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