[原子力産業新聞] 2007年9月27日 第2397号 <2面>

電力各社など 中越沖地震データで 検討結果を発表 重要設備の安全性を確認

電力各社と日本原子力発電、日本原子力研究開発機構、日本原燃は20日、中越沖地震において柏崎刈羽原子力発電所で観測された地震データを基に実施した、各施設の耐震安全性検討の結果を発表した。ほとんどの施設で、設計時の検討用地震動の床応答スペクトルを柏崎刈羽の同スペクトルが上回った設備があったが、耐震余裕を考慮すれば、全施設で重要設備の安全機能は維持できるとした。

この検討は、まず対象設備の各固有周期における柏崎刈羽の床応答スペクトルと設計時の検討用地震動の床応答スペクトルを比較(比率α)。次に柏崎刈羽のスペクトルが大きい場合(αが1以上)、余裕を考慮した評価を実施した。同評価は、日本電気協会の耐震設計技術指針などによる応力や変形の許容値と、検討用地震動による応答値を比較(比率β)して、αがβを超えなければ安全機能は維持されると判断する。

検討の対象は「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」に係わる重要設備で、各施設により多少異なるが10設備前後となっている。東京電力・福島第一の1号機では対象設備のほとんどのαが1を超える一方で、日本原子力発電の東海第二では全ての対象設備が1を下回るなど、各施設により数値にかなり異なりがあるが、検討した全施設の全設備でαがβを超えた設備はなかった。

各社は同検討結果を原子力安全・保安院に報告、保安院は各社の対象設備の選定や検討方法が妥当なことを確認した。

この検討は、8月20日に各社が提出した耐震バックチェックの実施計画見直しの中で、1か月を目途に自主的に実施するとしたもの。今回は短期間で概略を検討するという趣旨から、αとβを比較するという簡易的で保守的な評価手法を使用したとしている。


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