[原子力産業新聞] 2007年9月27日 第2397号 <3面>

米国 サウステキサス・プロジェクト発電所 ABWRのCOLを申請

NRGエナジー社とサウステキサス・プロジェクト・ニュークリア・オペレーティング社(STPNOC)は25日、テキサス州のサウステキサス・プロジェクト・サイトを対象としたABWRの建設・運転一体認可(COL)を、米原子力規制委員会(NRC)に申請した。米国では今年7月、ユニスター・ニュークリアがカルバートクリフス・サイトを対象としたCOLのうち環境影響評価書をNRCへ提出しているが、完全な形でCOLが申請されたのは今回が初めてのケースとなる。

増設されるのはサウステキサス・プロジェクト3、4号機で、52億ドルを投じ、出力135万kW級ABWRを2基建設する。2010年にも着工し、それぞれ2014年、2015年に運転を開始する考えだ。NRGエナジー社は、増設計画がテキサス州に90億ドルの経済効果と4,000〜6,000人分の雇用をもたらすと試算している。

同原子力発電所が立地するテキサス州マタゴルダ郡のN.マクドナルド判事は、「サウステキサス・プロジェクト原子力発電所は安全な運転実績を誇る、地域社会のよき隣人。マタゴルダ郡は増設計画を歓迎し、クリーンで安全な原子力発電をテキサス州に追加導入したい」と歓迎のコメントを発表している。

既存のサウステキサス・プロジェクト発電所(=写真)は、出力135万kW級のウェスチングハウス社製PWR×2基で構成され、STPNOCが運転している。

NRGエナジー社は昨年2月にテキサス・ジェンコ社を買収し、同発電所の株式44%を所有。CPSエナジー社(40%)とオースティン・エナジー社(16%)が共同所有者だ。増設される3、4号機も、STPNOCが運転を担当する。所有者は現時点ではNRGエナジー社のみとされているが、CPSエナジー社が増設計画への参加に関心を示している。

同発電所は2006年に約213億7,000万kWhを発電し、全米トップ級の運転実績を記録した。テキサス州の電力市場で扱われる電力の7割以上が高コストの天然ガス火力で発電される中、低コストのサウステキサス・プロジェクト発電所は、稼動可能な期間のほぼ100%にわたって運転されている。そのため同発電所の発電コストは、kWhあたり1.356セントで、米国の原子力発電所の中でも最安値クラスにランクされている。

GE製のABWRは1997年にNRCの最終設計認証を取得。GE、日立、東芝などが供給者となり、日本で4基(柏崎刈羽6、7号機、浜岡5号機、志賀2号機)が運転中、1基(島根3号機)が建設中だ。こうしたことからSTPNOCは今年の3月、ABWRの経験が豊富な東京電力と、ABWRの建設・運転管理に係る技術コンサルティング契約を締結している。また今回のCOL申請では、米GE日立ニュークリア・エナジー社と米ベクテル社からの協力を受けている。

NRGエナジー社はABWRを採用した理由として、スケジュール通りに予算内で建設され、安全に稼動している実績がある点を強調している。


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