[原子力産業新聞] 2007年9月27日 第2397号 <3面>

英王立協会 プルトニウム処分で MOX利用を提言

英王立協会は21日、英国内に貯蔵されているプルトニウムの量が過去10年で100トン超に倍増しているとし、政府に早急に対処戦略を確立するよう求める報告書を発表した。

これらプルトニウムのほとんどは、英国内原子力発電所から発生した使用済み燃料を再処理する過程で回収されたもの。同報告書を取りまとめた作業部会のG.バウルトン教授は、「長期的なプルトニウム処分戦略を持たずに、プルトニウムを貯蔵し続ける現状は、最悪なオプション。王立協会は本件について9年前にも警告を発したが、政府はなんの戦略も立案していない」とし、「プルトニウムの貯蔵は、核拡散やテロの脅威を増すだけだ」と、速やかな対策を訴えた。

報告書は、プルトニウム処分策として「MOX燃料に加工して原子力発電所に装荷するのが核不拡散の観点からも最良のオプション」として提言。政府が原子力発電所の新設オプションを決定した場合、新たに建設される原子力発電所にMOX燃料を装荷することで、全量のプルトニウムを処理することができると指摘した。

逆に、原子力発電所の新規建設をしない場合は、英国で最新のサイズウェルB原子力発電所(=写真 PWR、125万kW)の炉心をMOX用に改造して利用。しかし同発電所の運転寿命も限られていることから、プルトニウム全量を処理することはできないため、余剰プルトニウムをMOXペレットの形で貯蔵するよう勧告した。

そして報告書は、長期的にはプルトニウムを使用済み燃料(あるいは次善策としてMOXペレット)の形で深地層処分すべき、と結論している。


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