[原子力産業新聞] 2007年10月4日 第2398号 <1面> |
班目教授が解説 プラントの安全裕度は数十倍日本原子力学会は学会開催中の28日夜、「中越沖地震・柏崎刈羽原子力発電所の安全に関する報告会」を開き、一般市民を含め約400人が参加した。 座長を齋藤伸三・前原子力委員長代理が務め、当事者として東京電力の武藤栄・執行役員、監督官庁から原子力安全・保安院の山田知穂・原子力安全技術基盤課長、総合エネルギー調査会の地震調査対策委員会の班目春樹・委員長、国による安全指針策定の立場から原子力安全委員会の早田邦久委員が報告した。 この中で、班目春樹・東京大学教授は専門家の個人的見解として、「想定を大きく上回る地震動にさらされたにも関わらず、なぜ原子炉の安全機能が維持されたのか?」との質問を多くの人から受けるとした上で、その理由を説明した。 原子力プラントでは、耐震設計がなされて設計が行われているというより、例えばコンクリートの厚さは放射線遮蔽の観点から、配管の厚さは内圧によって設計値が決まり、耐震安全については、後で耐震設計が十分であることの確認を行っている、というのが正確なところだ、と説明。鋼材の変形弾性領域で設計、揺れの減衰乗数の保守性などを考え合わせると、「安全裕度は数十倍近い」と解説した。ただ同氏は、許容値を超えると変形などは否定できず確証が必要だ、と強調した。 |