[原子力産業新聞] 2007年10月11日 第2399号 <1面>

保安部会合同会合 新検査制度の高経年対策 保安院が具体案示す 保全プログラムで継続監視

総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の高経年化対策検討委員会と原子炉安全小委員会保守管理検討会の合同会合は5日、新検査制度における高経年化対策の充実について審議した。保安院は運転初期から継続監視が必要な事象を提示、この事象の劣化傾向監視を新検査制度の「保全プログラム」に求め、現行の高経年化技術評価は必要事象に絞るとの方針を示し、両検討会ともこれを了承した。

保安院は運転初期から劣化進展特性を継続的に把握する必要がある経年劣化事象として中性子照射脆化、応力腐食割れ、低サイクル疲労、ケーブル絶縁劣化、配管減肉、熱時効、コンクリート強度低下、耐震安全性、高サイクル疲労、各種摩耗・腐食など20事象以上を提示。これらについては各事象の特徴を捉えた劣化傾向監視を「保全プログラム」に求めるとした。

現在、高経年化に関連する全ての劣化事象を高経年化技術評価(運転開始後30年を経過する時点で実施)の対象としているが、新検査制度では劣化事象毎に傾向監視を行う時期を明確化する。

劣化事象の内、劣化進展特性が比較的緩やかで中期的な傾向監視が有効な中性子照射脆化、照射誘起型応力腐食割れ、低サイクル疲労、耐震安全性の4事象は定期安全レビュー(10年毎に事業者が行う保安活動の総合評価)に合わせて監視・評価。運転年数の長期化に伴い経年劣化が急速に進展、あるいは新たに顕在化する可能性のある照射誘起型応力腐食割れ、低サイクル疲労、ケーブル絶縁低下、熱時効、コンクリート劣化、耐震安全性、照射下クリープの7事象は運転開始後30年までに、高経年化技術評価を求める。

なお、新検査制度では、高経年化対策を一層強化するため、事業者が高経年化技術評価に基づいて策定するその後10年間の長期保全計画を、保安規定記載事項として国の認可対象(現行は国に報告)とする。事業者は同計画に基づき運転サイクル毎に、高経年化を考慮した保全計画を国に届け出ることになる。


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