[原子力産業新聞] 2007年10月11日 第2399号 <3面>

ロシア原子力開発で講演会 BN800、年内に基礎部分が完成か

日本原子力産業協会は4日、東京の同協会会議室で、ロシアのクルチャトフ研究所のクズネツォフ革新エネルギー研究所長による「ロシアの原子力開発の現状と展望」と題する講演会を開いた。

その中で同氏は、高速増殖炉BN800について、今年中に基礎部分が完成する(=写真)、との見込みを示した。同炉は、1984年に旧ソ連がウラル山脈の東ベロヤルスクで建設準備に着手したが、その後のチェルノブイリ事故の影響で作業が中断。2001年より作業が再開されている。

同サイトにあるBN600に比べて金属の物量30%減などでコストを10%削減したが、それでもまだ軽水炉よりは10%ほどコスト高だという。建設費は約20億ドル、2012年の運開を目指している。

また同氏は、モスクワの北方、白海に面したアルハンゲリスク州のセベロドビンスクで製造を開始した海上浮揚型原子力発電所「アカデミック・ロモノソフFNPP」にも言及。

同発電所は砕氷船などに搭載してきた舶用炉を改良した中小型原子炉KLT40S(半一体型PWR)を用いたバージ型(タグボートで曳航・係留)。2009年に完成予定で、完成後も同地域に繋留され、エネルギーを供給する計画だ。

同炉はパイロット・プラントの位置付けで、電気出力は7万7,000kW、熱出力が17万kW。耐用年数は約38年を見込む。海底油田開発のプラットフォームへのエネルギー供給、海水淡水化工場での利用などを想定している。ロシア国内だけでも、すでに10を超す地点から採用の引き合いがきているそうだ。


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