[原子力産業新聞] 2007年10月18日 第2400号 <1面>

中越沖地震情報WG 緊急時の情報提供対策示す
オフサイトセンター活用、設備免震化、分かり易さ等

総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の「中越沖地震における原子力施設に関する自衛消防及び情報連絡・提供に関するWG」は11日、第3回会合を開催、情報連絡・提供に関する対策を検討した。保安院は事業者に放射性物質の迅速な検知と連絡体制の整備を求めるとともに、原子力災害以外でもオフサイトセンターの活用などを提起。東京電力は緊急時対策設備の免震構造化などの対策を示した。

保安院は今回の地震対応を踏まえ、事業者および国の情報連絡、情報提供の方法、情報内容などの課題と対策を示した。事業者には情報通信システムの耐震性向上、システムの多様化、夜間・休日でも放射性物質の迅速な検知と連絡体制の整備などを要請。一方、国は原子力施設の安全情報を自動的に入手できるシステムの整備、オフサイトセンターの迅速な応援態勢やTV会議など情報通信機器の整備・活用、自治体との円滑な情報共有などに取組むとした。

また情報提供に関し、用語を含めて分かり易い内容にするには十分な事前準備が必要であり、プレス以外の情報提供手段の検討も必要と指摘。特に緊急時には迅速・適確な情報提供を行う体制の確保が重要であり、この体制強化のためには事業者・国とも幹部職員の現地派遣などが必要としている。さらに海外への情報発信強化も求めた。

東電も今回の状況を踏まえ、通信機器など緊急時対策設備やモニタリングポスト中央処理装置などを免震構造化するとともに、必要設備の電源の非常用化、構内保安電話の拡充などを進めるとの方針を示した。

委員からは、現地の意志決定、何を伝えるかの判断などが重要との意見が出され、実際に地元住民に避難指示などを出す場合の判断に関し、事業者・自治体間のみで可能かなどを議論した。斎田英司委員(新潟県危機管理監)は原子力災害かどうかなど、自治体だけの判断では難しい面があり、国の判断が必要としたのに対し、大橋弘忠主査は緊急の場合、事業者と自治体による判断が合理的では、と指摘した。


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