[原子力産業新聞] 2007年10月18日 第2400号 <3面>

英国 NDAが最新の試算を発表 原子力債務370億ポンド

英原子力廃止措置機関(NDA)は9日、NDAが負担する国内20サイトの原子力債務が、370億ポンドに上ることを明らかにした。これは昨年予測した306億ポンドを大幅に上回る。原子力債務とは、廃炉・除染に伴なう債務のことで、軍事用を除くこれまでの原子力開発プログラムの実施にともなって発生したものだ。施設の廃止措置・解体費用、処理・貯蔵・最終処分費用、環境復旧費用などから構成される。

もちろんこれは予測値にすぎず、多くの不確実性に支配されている。そのためNDAは、将来的にさらに費用が上昇する可能性もあるとしている。ちなみに2002年3月時点の政府による予測では、約479億ポンドと試算されていた。

NDAのデコミッショニング・除染の対象となるのは、バークレー、ブラッドウェル、コールダーホール、チャペルクロス、ダンジネスA、ヒンクリーポイントA、ハンターストンA、オールドベリー、サイズウェルA、トロースフィニッド、ウィンズケール、ウィルファなどマグノックス炉を採用した12の原子力発電所、カーペンハースト、ドリッグ低レベル廃棄物処分場、セラフィールド、スプリングフィールドなど4つの燃料サイクル施設、ドーンレイ、ハーウェル、ウィンフリス技術センターなど3つの研究炉・高速増殖炉サイトおよびカルハム科学センターの核融合研究施設――の合計20サイト。

こうした原子力債務に分類されるサイトは、政府の計画に従って開発されたという経緯があるため、NDAが責任を持つこととされている。

一方NDAの2006/2007会計年度の収入は12億600万ポンドで、前年度予測より1億1,200万ポンド下回る実績となった。2005年4月の硝酸溶液漏洩判明以来操業を停止している、セラフィールドの酸化物燃料再処理工場(THORP)の操業再開が遅れているのが原因だという。


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