[原子力産業新聞] 2007年10月26日 第2401号 <2面> |
原子力委ビジョン懇 他電源との比較を議論 安定供給には地震対策も原子力委員会の地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会は12日、第2回会合を開催、原子力と他電源の比較を議論するとともに、国立環境研究所の原沢英夫・社会環境システム研究領域長から地球温暖化の予測の説明を受けた。 他電源との比較は、原子力機構の村上正一・経営企画部戦略調査室長が経済性、供給安定性、持続性、安全性、温暖化対策の有効性などを説明。供給安定性の課題として地震対策を挙げ、将来的に発電所の免震設計、詳細調査による立地地点の選定などが必要と指摘。世界全体として持続可能な発展に向け、短期間に大きな方向転換が必要な切迫した状況で、原子力は重要な選択肢とした。 委員からは「水素社会における原子力の役割も重要なテーマ」(浦谷委員)、「国家のメッセージの発信、廃棄物問題、テロリスト対策などが重要」(黒川委員)、「廃棄物問題に国民の関心を高める工夫を」(崎田委員)、「世界に向け日本が原子力の重要性の発信を」(柴田委員)、「FBRの実現が重要」(田中委員)、「立地を交付金に依存していた面があるが、立地の仕組みを根本的に変える検討を」(堀井委員)などの意見が出された。 また、山本座長は地球温暖化に関し、すでに北極海の氷床が消えるポイント・オブ・ノー・リターンを超えた可能性が高く、10年後にはグリーンランドの氷床も同様の状況との認識を示した。 |