[原子力産業新聞] 2007年10月26日 第2401号 <3面>

ハンガリー 電力料金高騰が産業を圧迫

ハンガリーの電力価格上昇により、国内産業が停滞を余儀なくされている。同国最大の石油化学会社であるボルソドケム社はこのほど、「ハンガリーの電力価格は、欧州連合(EU)域内最高値に達している」として、経済省に是正措置を要請した。

同社のK.ググラーCEOは、「すでにEU平均より3割高い電力料金を支払っているのが現状だ」とし、2008年の国内電力価格が50%近く上昇する見通しのため、同社が2009年の着工を予定していた新規プラント建設プロジェクトは、「見直さざるを得ない状況」だという。同プロジェクトは2億2,000万ユーロを投じ、プラスチック・プラントを建設するもので、4,000人分の雇用を生む一大プロジェクトだった。

ハンガリーを含む欧州東南部エリア全体が、急激な経済成長、発電所への投資不足などから電力不足状態に陥っている。特に、エリアの電力輸出者であるブルガリアのコズロドイ原子力発電所が、EU加盟と引き換えに、6基中4基を強制閉鎖された影響が大きいようだ。国外の電力輸出者と結ばれた送電網が少ないことも、致命的だ。

またハンガリーの電力部門民営化が不完全で、国営発送電会社であるMVM社と独Eon社、独RWE社の3社が支配的な地位を占めていることも一因だと指摘する向きもある。


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