[原子力産業新聞] 2007年11月1日 第2402号 <1面>

中越沖地震で市民参加懇 緊急時広報、風評被害など議論

原子力委員会は10月29日、横浜市の新都市ホールで市民参加懇談会in横浜「知りたい情報は届いていますか〜新潟県中越沖地震に学ぶ〜」を開催(=写真)した。約120人が参加、風評被害の実状や情報提供の在り方などを傾聴した。

まず東京電力の工藤健二・執行役員原子力立地業務部長が地震の影響と対応など反省点も含めて説明。続いて柏崎市のパネリストとして、須田幹一・柏崎市市民生活部防災・原子力課長、新野良子・柏崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会会長、内藤信寛・柏崎観光協会長が各立場で意見を述べた。

須田氏は被害状況とともに、防災行政無線やFMラジオ放送により、住民が対応すべき点を詳細に繰り返し説明すべきだったなどの反省点も説明。新野氏は事業者の地元への情報提供はスピードと正確さ、メディアとの連携などに欠けていたとするとともに、知識が無い人ほど不安が続き、教育が重要とした。また、同会設立の経緯に関連し、01年のプルサーマル住民投票について、「個人的には、(住民の)NOという投票は、待って欲しいという意志表示だったのではないかと思う」と述べた。

内藤氏は柏崎市の今年の海水浴客が昨年の104万人から16万人に激減したなどの風評被害を説明し、マスコミの針小棒大で何が重要かを理解しない報道、事業者に対する信頼感のなさなどがこうした風評被害の原因と指摘。消費者への分かり易い丁寧な説明や教育が重要とした。また地元紙の調査結果として、安全確保を前提に柏崎刈羽の運転再開を求める人の割合が50%、再開すべきでないが20%になったことなども説明した。

このほか懇談会の構成員や会場から、放射能や放射線に関し、どの程度の量なのか一般市民でも理解し易い情報提供の必要性が指摘された。


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