[原子力産業新聞] 2007年11月8日 第2403号 <2面>

新エジプト大使 原子力発電導入の背景を説明

9月に着任したエジプトのワリード・アブデルナーセル新駐日大使が1日、東京千代田区・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、先日のムバラク大統領の原子力発電導入に向けた正式発表を受けて、その背景などについて説明した。

大使は、エジプトの原子力開発は1950年代の研究炉導入から始まり、早い段階から国際協力による原子力発電導入が検討されてきたものの、67年の第3次中東戦争や、その後の旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所事故などによる安全性への懸念によって、導入に向けた活動は中断されていた、と述べた。しかし近年の同国のGDPの伸びは年7%台に達しており、「これに伴いエネルギー需要が急増している」と指摘。

このため国家民主党が原子力発電導入について精力的な検討を行い、昨年9月に提言をまとめ、その後国家レベルの討論が行われた後、大統領による導入計画発表に至ったものだと説明した。

同大使は、「エジプトは中東・アラブ圏の非核地帯の提唱者であり、原子力は平和利用に限定することを標榜している」と強調した上で、核不拡散条約(NPT)は81年に批准しているものの、「保障措置の追加議定書については、イスラエルが同条約に加盟しない限り調印しない」と表明した。


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