[原子力産業新聞] 2007年11月22日 第2405号 <3面>

米国 米電力と仏電力公社のコンソーシアム 州レベルでの許認可申請

ユニスター・ニュークリア・エナジー(UNE)は15日、メリーランド州公益事業委員会に、カルバートクリフス・サイトでの新規原子力発電所建設プロジェクトを「州の公益にとって必要なプロジェクト」(CPCN)として承認するよう、正式に申請した。

CPCN申請は、連邦レベルでの許認可申請と並行して、州レベルでの許認可を求めたもの。今後、州公益事業委員会により、パブリックコメントに付されることになる。UNEは、2008年内にCPCNが承認されることを希望している。

UNEのM.ウォレス会長(兼コンステレーション・エナジー社上級副社長)は、「カルバートクリフス3号機は経済性が高く環境影響も少ない、増大する電力需要に対応したベースロード電源となる。世界的なエネルギー価格の不安定性や、予想される石炭火力に対する規制強化の流れから、代替電源として原子力発電が最適だと考える」と、UNEのスタンスを説明。

同時に、UNEは必ずしも同3号機の建設を最終決定したわけではないと強調し、建設の条件として、@連邦政府による融資保証付与A連邦政府が算定する融資保証コストB州および地元自治体の税制上の優遇措置――など、総合的な経済性やリスク評価の向上を指摘した。

また、カルバートクリフス3号機に加え、ナインマイルポイント3号機(ニューヨーク州)の建設も検討中だという。

UNEは、米国で原子力発電所の新規建設を目指し、建設・運転一体認可(COL)の実証を目的として設立されたコンソーシアムの1つで、仏電力公社(EDF)と米コンステレーション・エナジー社との合弁会社。供給者として仏アレバ社が、アーキテクト・エンジニアとして米ベクテル・パワー社が、参加している。コンステレーション・エナジー社とアレバ社が2005年に設立した合弁会社「ユニスター・ニュークリア」を基に、今年7月にUNEとして再編成された。

UNEはEPRを米国向けに改良した160万kW級原子炉、USEPRを建設炉型とし、カルバートクリフス3号機の建設に向けたCOL申請作業を進めている。

すでに今年7月にCOL申請書を分割し、環境影響評価書を原子力規制委員会(NRC)へ提出。来年3月までに、COL申請書の残りの部分、安全解析書等をNRCへ提出する予定だ。

カルバートクリフス原子力発電所(=写真 PWR×2基)はコンステレーション・エナジー社が所有・運転している。地元自治体のメリーランド州カルバート郡は、新規建設の誘致に熱心で、昨年8月にはコンステレーション・エナジー社からの要請に応え、3号機に税制上の優遇措置(15年間にわたって新規ユニットの固定資産税の50%を控除)を与えることを発表した。カルバート郡によると、3号機による税収は年間2,000万ドルと見積もられている。


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