[原子力産業新聞] 2007年11月22日 第2405号 <4面>

非破壊評価総合展2007 状態監視技術に注目 保全学会が特別コーナー

日本非破壊検査工業会と日本能率協会は今月6日から9日まで東京・江東区の東京ビックサイトで非破壊評価総合展2007を開催した。今回は日本保全学会が中心となり特別企画「状態監視技術コーナー」を設置(=写真)、原子力発電プラントに関する同技術を集中展示した。来年4月からの新検査制度では、状態監視保全(CBM)をより有効に多様に利用、画一的な保全から現場の工夫を活かし、いわゆる「いじり壊し」の低減を目指す。同技術への関心は高く、今展示会でも多くの来場者を集めた。

今回の同コーナーには東芝、日立・GE、三菱重工のプラントメーカーをはじめ、東京電力が千代田テクノルと、日本原子力発電が日本ギア工業と共同展示、四国電力の関連会社の四国総合研究所、KJE、丸紅ユティリティ・サービス、JFEメカニカル、トライボテックス、サーモグラファー/ニシヤマなどの機器メーカー、日本原子力研究開発機構、電力中央研究所、日本保全学会などが出展した。

東芝は縦型ポンプの揚水管内部の軸振動を超音波センサーで検出し、回転体の異常徴候の検出や軸受の摩耗を推定するシステムなどを展示した。東京電力と共同開発で、高感度ながら、揚水管の外側にセンサーを取付けるだけで監視でき、ポンプ本体の改造は不要。

日立・GEは超音波の一種であるガイド波を利用した配管減肉検査・管理システムなどをPRした。ガイド波は配管の軸方向に伝播することが特徴で、伝播途中に減肉した部分があると反射波が発生するため、この検出により減肉部を検知する。保温材を一部剥ぐだけで、減肉状況をセンサーから前後合わせ最大16mまで一度に検査することができる。

三菱重工はマトリックスアレイを使用する超音波探傷技術などを展示した。現在のフェーズドアレイが振動子を1次元配列しているのに対し、マトリックスアレイは2次元配列構造とし、超音波ビームの3次元スキャニングが可能。これにより、プローブ走行方向に対し傾きを持った斜め欠陥の検出性が向上した。

東京電力は配管表面のひずみ変化から配管内面の減肉を測定する技術、小口径配管の曲がり部の肉厚測定装置などとともに、千代田テクノルと共同で放射線可視化システムを展示した。位置検出システム、放射線検出器、無線機、可視化ソフトウェアなどで構成。原子力施設で放射線レベルを監視したい空間において、同レベルをリアルタイムでモニター上に可視化する。エリア内作業の被ばく低減、被ばく防止手段の検討などに利用する。

四国総合研究所は、簡易取付型振動波形監視ユニット、簡易操作型の制御棒駆動状態監視装置などを展示。同監視装置は、制御棒を全ストローク連続して引抜きまたは挿入させた時の駆動コイル電流波形信号を測定、これを基に短時間で動作の健全性を確認できる。

日本原子力発電は汎用型現場データ無線伝送システムや電磁弁の運転中診断装置をPRした。同装置は、ウォームの回転力をトルクスイッチに伝えるスプリングカートリッジ内に高精度センサーを組み込み、運転動作中でも信頼性の高いトルク検出が可能。センサーは既存の電磁弁に無改造で簡単に組込める。

また、原子力機構は「もんじゅ」の原子炉容器の超音波探傷に適用するために開発を進めている電磁超音波探触子など、電力中央研究所は短経路回析波を利用した非破壊検査技術、トライボテックスは機械の油と油中の摩耗粒子とを分析し機械の状態を診断・評価する技術、サーモグラファー/ニシヤマは赤外線サーモグラフィーによる状態監視技術、JFEメカニカルは振動診断計「神童君」などを展示した。


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