[原子力産業新聞] 2007年11月29日 第2406号 <2面>

大型ヘリカル 評価委が結論 重水素実験でも安全

核融合科学研究所が計画している大型ヘリカル装置(LHD)の重水素実験の安全性を評価する安全評価委員会(委員長=片山幸士・人間環境大学教授)はこのほど最終報告書をまとめ、本島修・同研究所長に提出した。トリチウム対策、中性子遮蔽、放射化対策などの安全性に問題はなく、広く社会的な支持を得ながら同実験を進めることを希求するとした。

同委員会は各分野の専門家、地元関係者など第三者のみで構成。今年1月から5回の会合で中間報告を取りまとめてパブコメを募集、8件の意見が寄せられた。その後2回の審議を経て、今回の最終報告書となった。

委員会は、外部供給のトリチウムを燃料とする実験を行わないことを確認した上で、放射線管理、設備増設計画などに留意しトリチウム対策、中性子遮蔽、放射化対策、放射線管理体制、災害・事故時の対策などを審議。

発生トリチウムの内、外気への年間最大放出量は3.7GBq以下であり、環境や健康への影響はなく、適切な管理が行われる限り、安全性に問題はないと判断した。

また中性子とその中性子により発生するガンマ線は実験室のコンクリート壁(横壁2m、天井1.3m)で十分に遮蔽、敷地境界での線量は年間自然放射線の1,000分の1程度と見積もられ、安全性に問題はないとしている。


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