[原子力産業新聞] 2007年11月29日 第2406号 <3面>

リトアニア 共同建設プロジェクトで 環境影響評価実施へ

リトアニアの環境省はこのほど、建設を計画している新規原子力発電所の環境影響評価プログラムを承認した。同プログラムはフィンランドのコンサルティング会社、プーリ・エナジー社とリトアニア・エネルギー研究所が策定したもので、両者は今後21か月かけ、環境影響評価を実施する。

環境影響評価では、複数の建設候補サイトや炉型の検討に加え、建設計画の白紙撤回というオプションも検討される予定だ。

リトアニアの新規建設プロジェクトは、4か国の共同建設プロジェクト。既存のイグナリナ原子力発電所サイト近郊に160万kW級原子炉を2基建設するもので、2015年の初号機運開を目指している。建設コストは220億リタス(64億ユーロ)と試算されている。これはリトアニアの年間予算に匹敵し、同国独立以来最大のプロジェクトだ。

ただし参加各国の出資比率をめぐり、調整は困難を極めている。当初計画していた「立地国であるリトアニアが34%、エストニア、ラトビア、ポーランドが22%ずつ」との目算は、ポーランドが出資比率の33%への拡大を要求しているため、決着がついていない。

リトアニアのキルキラス首相は、「リトアニアが必要としている原子力発電設備容量は100万kW。エストニアとラトビアが50万〜60万kWずつ。ポーランドが100万〜120万kWだろう」との見通しを示している。

環境影響評価の結果、計画通りに160万kW2基が建設できないと判断された場合、出資比率をめぐって参加各国間でさらに軋轢が生じそうだ。


Copyright (C) 2007 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.