[原子力産業新聞] 2007年11月29日 第2406号 <4面> |
武蔵工大 来春の学科新設を前に意見交換 「原子力教育の再生」目指す武蔵工業大学は12日、「原子力と安全」をテーマに講演会を開催、石川迪夫・日本原子力技術協会理事長より、中越沖地震の影響を始め、最近の原子力発電を巡る動きを紹介するとともに、同学「原子力安全工学科」の来年度新設を踏まえ、今後の技術継承、人材育成、安全研究のあり方について意見交換を行った。武蔵工大が都内ホテルで継続的に開催する市民講座の一環だが、約200名の参加者のもと、活発な質疑応答があった。 冒頭、中村英夫学長は、既に廃止された同学の研究用原子炉を通じ、幾多の技術者を輩出してきた実績を振り返った上で、それら人材を活かし、安全問題を中心とした「現代に相応しい」研究が行われることを期待した。 石川氏の講演に続いて登壇した横堀誠一・原子力研究所教授は、原子力発電所の建設が集中した70〜80年代に活躍した技術者らがリタイアする一方で、昨今の「原子力回帰」の動き、この数年、顕在化してきた配管減肉などの問題、加えて、学生らが現場を嫌う傾向から、原子力教育の再生に向け、「アイテム見直し」の必要を訴えるなど、学科新設に際しての課題を述べた。技術の継承については、幅広い素養、倫理感を備えた原子力エンジニアが育まれるためにも、「紙だけでは無理」として、座学に留まらず、シニア世代の経験活用も必須と訴えた。実験・実習に関しては、他大学、日本原子力研究開発機構の施設も活用する考えだ。 会場参加者からは、学生との対話活動の経験を通じて、「知識を与えるのには長けているが、考え方を身に付けさせるのが弱いので、自分の意見を主張できない」と現代教育の弱点を指摘した上、新設学科ではグループ討論を重視すべきとの声もあった。 |