[原子力産業新聞] 2007年11月29日 第2406号 <4面> |
保安院・JNESが中越沖地震でシンポ 風評被害は「早い手立て」を経済産業省と原子力安全基盤機構は14日、東京・有楽町朝日ホールで、シンポジウム「新潟県中越沖地震より得られた知見から更なる安全性の向上へ」を開催、地震に伴う原子力発電所の安全性について、国、事業者から、調査・検討状況を報告するとともに、会場参加者を交えたディスカッションを行った(=写真)。 基調講演で、中越沖地震で想定を大きく上回る地震動を受けたにもかかわらず、原子炉の安全機能が確保された経緯を、国の調査・対策委員会委員長を務める班目春樹・東京大学教授が、「原子力施設は遮蔽性能、内圧保持など、耐震以外の要求から非常に強度が大きい」などと工学的見地から説明。 続いて、地震学からの考察を入倉孝次郎・京都大学名誉教授より、柏崎刈羽発電所の受けた影響と対応状況を武藤栄・東京電力執行役員より、調査・対策委員会での検討状況を加藤重治・原子力安全・保安院審議官よりそれぞれ報告した。 北村正晴・東北大学名誉教授他の進行によるパネルディスカッションに移り、設備の安全性について、経産省の耐震・設計構造小委構造WG主査を務める西川孝夫・首都大学東京名誉教授は、シミュレーション解析の有効活用を訴える一方、入倉教授は、「基準地震動としてどれくらい想定するか、科学的に明確な答えを出すべき。単に震源だけでなく地域的特性も考慮」などと述べた。 情報提供について、武藤執行役員は、「正確な情報に、安全上の意味合いも付加価値」として、住民らに安心感を与える工夫が必要と述べた。 風評被害について、首藤由紀・社会安全研究所副所長は、「どんな災害でも発生の防止は完全にはできない」として、早い段階から、集客キャンペーン等、手を打っていく必要を強調した。 |