[原子力産業新聞] 2007年12月6日 第2407号 <2面>

原子力委 放射性物質防護の審議進む 今年度中に報告書

原子力委員会の原子力防護専門部会(部会長=内藤香・核物質管理センター専務理事)が放射性物質の防護に関する審議を進めている。先月26日には3回目の会合を開催、関係機関などからヒアリングした。放射性物質は幅広く利用されており、利用実態に則した基本的な考え方を今年度中に示す。

同部会は、今年8月にガラス固化体等に関する防護の考え方を取りまとめ、同固化体を防護規制の対象とし、超半減期低発熱放射性廃棄物(TRU廃棄物)は慣行による慎重な管理が適切との方針を示した。

引き続き10月から放射性物質の防護に関する審議を進めており、@不法移転や妨害破壊行為など想定すべき脅威A潜在的危険性の区分B防護水準C国際動向D防護要件E防護すべき施設の範囲F安全規制と防護の連携効果G防護体制整備の考え方――などについて検討している。

先月7日の2回目の会合では、文科省・放射性規制室がIAEAの「放射線源の安全とセキュリティに関する行動規範」(03年制定)の要求事項と現状などについて説明。現在、我が国の制度整備の点で、この要求事項への対応が不十分な事項として、線源の特定・トレースが可能なシステム整備、身元不明線源検知のためのモニター実施、セキュリティに着目した定期的在庫確認制度などを挙げた。また、日本アイソトープ協会は、特に放射能値が高い滅菌用や治療用線源の利用状況などを報告した。

3回目の会合では警察庁、国土交通省、厚生労働省などの関係省庁、病院関係者、非破壊検査装置メーカーなどが現状について説明した。

同部会は検討対象とする放射性物質が医療、研究、教育、産業など幅広く利用されているため、こうした実状を考慮した上で、防護対策の基本的な考え方を示す方針。ただ同時に現在、放射性物質の防護対策が十分に行われているとは言えない、との認識に基づいて検討を進めており、これらのバランスを配慮することになる。


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