[原子力産業新聞] 2007年12月13日 第2408号 <2面> |
電気分科会・ 制度改革WG「安定供給と環境」審議終了 来月、基本答申へ総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の制度改革WG(座長=金本良嗣・東大院教授)は10日、第9回会合を開催、「電力の安定供給および環境適合に係わる検討」に関する検討結果を取りまとめた。同分科会はこれを基に来月には、基本答申を取りまとめる。 同WGは、@非常時も含めた安定供給確保A自由化された市場での安定供給確保B電力分野の環境適合C需要家が需要を抑制するインセンティブを付与する枠組み――について検討してきた。 非常時も含めた安定供給では、今回の中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所のような状況を想定。現行の供給予備力の水準では安定供給に懸念があり、この対応策として供給予備率の引き上げ、連携線増強による広域流通の拡大などを提起した。今後、各対応策の定量的な費用対効果の分析が必要であるとしている。なお広域流通の拡大は、すでに電力系統利用協議会(ESCJ)が検討の場を準備している。 自由化された市場での安定供給では、供給区域毎に供給力の確保状況について、全ての市場参加者の情報が提供されるような制度的基盤を整備すべきであり、全国ベースでバランスのとれた電源構成にするため、PPS(特定規模電気事業者)等の供給力の電源構成や開発計画も把握する必要があるとした。また、原子力は発電投資が円滑に行われるよう、事業環境の整備を進めてきており、「まずは電気事業者の自主的な取組みを見守る」とした。原子力や大型水力を持たず、火力に頼るPPSは競争上不利との指摘に対しては、現下のPPSの制度面での位置付けを踏まえ、当面は市場を通じた供給力の確保が適当とした。 環境適合では、温暖化対策への努力が公正に報われるための制度的枠組みとして、卸電力取引所において京都メカニズムクレジット取引と「CO2フリー」電気取引を行うとし、今後、その詳細な制度設計を検討すべきと提起。ただしこれらは参加者が限定される可能性もあり、当面は実験的な試行を予定するとした。電気事業者は「CO2フリー」の切り出しに難色を示している。 |