[原子力産業新聞] 2007年12月20日 第2409号 <3面>

米デューク・エナジー W.S.リー原子力発電所プロジェクト 5件目のCOL申請

米電力会社のデューク・エナジー社は13日、W.S.リーV原子力発電所(=写真 サウスカロライナ州)を対象とした建設・運転一体認可(COL)を、米原子力規制委員会(NRC)に申請した。COLが申請されたのは5件目(うち1件は分割申請)。今年に入りこれまでに、7月(ユニスター・ニュークリア・エナジー)、9月(NRGエナジー社)、10月(テネシー峡谷開発公社)、11月(ドミニオン社)と、続々とCOLが申請されている。

デューク・エナジー社は、サウスカロライナ州チェロキー郡へ新規に原子力発電所(旧デューク・パワー社のエンジニアで、後に会長まで上り詰めたW.S.リーV世の名を冠している)を建設する計画だ。採用される炉型は、ウェスチングハウス社製AP1000×2基。テネシー峡谷開発公社が申請したベルフォンテ・サイトを対象としたCOLも、同じ炉型を採用しているため、今回の申請にあたり参照ケースになったという。

同日の記者会見で、同社原子力部門のトップであるB.バロンCNOは、「サウスカロライナ州およびノースカロライナ州で増大する電力需要に対応するための原子力発電オプションの保持に一歩近づく」とCOL申請の意義を強調した。同社は、2027年までに新たに1,070万kWの追加設備容量が必要になると予測しており、うちリーV発電所で約240万kWの設備容量をまかなう考えだ。

同社は2005年10月、COLの申請方針を発表。昨年3月には建設サイトを選定し、サザン・カンパニーと共同所有することを発表。しかし今年5月、サザン・カンパニーは「自社のA.W.ボーグル・サイト(ジョージア州)への新規建設プロジェクトに資金と人材を集中させる」としてリーVプロジェクトから撤退。その後デューク・エナジー社が、同プロジェクトを単独で継続していた。

実際に建設する場合、プロジェクトの総コストは40〜60億ドルと試算されているが、運転収益により回収は確実視されている。またサウスカロライナ州、ノースカロライナ州ともに、デューク・エナジー社のプロジェクト・コストの回収を認めている。これは、プロジェクトが頓挫した場合でも、プロジェクトにかかったコストを将来の電気料金に上乗せすることを認める法律で、電力会社にとってはプロジェクト・リスクを確実に回避することができ、積極的にプロジェクトを推進する強いインセンティブとなる。

チェロキー郡のサイトは、原子力発電所が立地する既存のサイトではないが、デューク・パワー社(当時)が1970年代にチェロキー原子力発電所(PWR、128万kW×3基)として着工した経緯がある。

当時の経済情勢や電力需要の低迷予測、規制体制の不確実性などから、2、3号機の建設計画は1982年にキャンセルされ、1号機の建設作業も1983年に中止された。

1989年に公開されたSF映画『アビス』(J.キャメロン監督、E.ハリス主演)の水中シーンを、放置されていたチェロキー1号機の建屋で撮影したことは有名だ。


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